2020年10月7日水曜日、AntaaではHPVワクチンの啓発や普及に取り組む「みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」を牽引する稲葉可奈子先生と木下喬弘先生にご登壇いただき、オンライン配信を行いました。
日本におけるHPVワクチン接種率の低さを危惧し、その啓発と普及に取り組まれていらっしゃるお二人。Antaa編集部ではオンライン配信の終了後にインタビューの機会をいただき、団体設立の背景や今後の展望などについて伺いました。上記アーカイブ動画とあわせて、ぜひご覧ください!
稲葉可奈子先生、木下喬弘先生プロフィール
稲葉可奈子先生
関東中央病院産婦人科医専門医・医学博士
みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト 代表
(Twitter:@kana_in_a_bar)
木下喬弘先生
医師・公衆衛生学修士
みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト 副代表
(Twitter:“手を洗う救急医Taka” @mph_for_doctors)
多様なメンバーが集い、みんパピ!いざ始動
医師だけでなく、行動科学や経営、法律の専門家などもメンバーに迎え入れ編成された「みんパピ!」。そんな多様性豊かなチームをどのように編成されたのか、また啓発活動を通して感じたハードルなどを伺いました。

私がTwitterでHPVワクチンについて何度か発信していたところ、「一緒に啓発活動を進めていこう」と声をかけてもらったのが、プロジェクトが始動したきっかけです。
医師はやはり、医学の知識を伝える際に難しい医学用語を使おうとしてしまいがちなので、一般の人でもわかるような広報をできるよう、彼らにもアドバイスをもらっています。

配信でもお話したように、ターゲット層ごとにプロモーションのやり方を変えようとしていますが、言うほど簡単ではありません。そこを今まさに乗り越えようとしています。
例えば、全く関心のないターゲット層には、何かの折で受診してきたときに「みんパピ!」のリーフレットを渡すなども考えているのですが、そこにどんな情報を組み込むか一つを取ってもチームでかなり議論しています。
また、特にホームページの記事などは是非多くの方に見ていただきたいと考えていまして、先ほど木下先生がおっしゃったように、一般の方に広く見て理解していただけるように現在改良中です。ぜひお楽しみにしていてください!
産婦人科以外の先生方もHPVワクチンの知識を
配信の冒頭で紹介した「あなたがHPVワクチンについて患者さんに聞かれたら?」というアンケート結果に対して、「自信を持って患者さんに説明することができる」と答えた回答者は57%に及びました。(Antaa公式Twitterアンケート結果より)

それ以外の診療科の先生方も、HPVワクチンについてエビデンスに基づいた説明をする十分な自信がないという方も、多くおられるのではないかと思います。

やはりHPVワクチンが初めは「子宮頸がんワクチン」として普及したからでしょうね。
そうなると産婦人科で扱うものになるのですが、そもそも接種の対象年齢の女の子たちが産婦人科にかかるケースは少ないですよね。そこが一番難しいところなのではないでしょうか。


それこそAntaaで配信を見てくださった先生方や、この記事をご覧になった先生方がご自身のクリニックや外来にリーフレットを置いていただくなど、是非ご協力いただけたらとても嬉しく思います。
クラウドファンディングへの思い
「みんパピ!」では10月15日までプロジェクトに賛同していただける方からのクラウドファンディングを募っていらっしゃいました。この取り組みへの思いや願いについても伺ってみました。

もう既に一般の方を含め、多くの方々から多大な支援をいただいていて、本当にこれ以上ないぐらいの応援をいただいている、とも思っています。ただそれでもまだ達成できていないことがあります。
それは、テレビや新聞といったいわゆる「オールドメディア」に取り上げてもらって、ワクチン接種を推進することです。
ここはどうしても費用がかかってしまいます。これまではホームページの改良やリーフレットの作成に取り組んで参りましたが、これからは日本全国津々浦々、色んな方に届けられるようにと方針を少し変えて、最終目標に向かっていければと思っています。

今回のクラウドファンディングを通して、SNS上では、正確な情報が一般の方々にも広まりつつあるのを感じます。一方でまだ情報が届いていない方もたくさんおられます。誰もが無料で受ける権利のある定期予防接種について情報格差があってはいけないと思うのです。1人でも多くの方に広く啓発していきたいと思っておりますので、日本全国の医師の皆さんには引き続きご協力いただきたく思います。
クラウドファンディングの支援総額は、配信の1週間後に総額約2600万円ほどにのぼり、プロジェクトは達成されました!
稲葉先生、木下先生にとっての「つながり」とは?
配信の最後、司会を務めたアンター西山からの「先生方にとってつながりとは?」という恒例の問いかけに対し、先生方から「つながりは力だ」というお答えをいただきました。

HPVワクチンの説明や接種に不安を感じられている先生も実際いらっしゃると思います。そのような先生方のサポートも、みんパピ!の大事な役割だと思っています。少しずつつなげてつなげて、全国どこでも、みなさんが安心して接種できるようになったらと願っています。
配信の中でも、「つながり」を意識したスライドをご用意いただきました!

僕も同感です。Antaaに登録されている皆さんは問題意識が高く、常に最新の医学情報を追っていることと思います。
インフルエンサーとなる先生方をはじめとして、Antaaから徐々にコミュニティを広げていけたらと思います。それこそが「つながり」であり、大きな力を持つものだと信じています。

医師の皆さんへのメッセージ

問題を理解して、そして是非私たちと一緒にこの問題解決に携わっていただければと思います。本当にそれに尽きますね。

診療科の垣根を越えて、日本中の先生方のご協力が必要です。
是非今後ともご支援、ご協力をいただきたく思います。
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