突き指〜腱性・骨性マレットフィンガー, 受傷機転, 診察, レントゲン, 治療〜

救急外来で経験する突き指(マレットフィンガー). 腱性か骨性かはどのように見分けるのでしょうか.

この記事は、医師同士疑問解決プラットフォーム “Antaa” で実際に行われたやりとりの中から学んでおきたい内容を回答いただいた先生に執筆いただいております。

突き指〜腱性・骨性マレットフィンガー, 受傷機転, 診察, レントゲン, 治療〜 

家庭医
 13歳の右小指突き指です。MP〜PIP中手指節関節〜近位指節間関節紫色になっていますが、小指は動かせます。折れてないようにみえますがどうでしょう?
藤井 達也
レントゲンでは骨折ははっきりしないですね。DIP遠位指節間関節の伸展はできますか??
腱性マレットを鑑別にあげました!
近位の軟部組織腫脹は単純X線写真でもあると思います。

 

家庭医
 DIP伸展できました。
保存的にみる方針でしょうか?

 

藤井 達也

うですね。保存になるかと思います!

蛇足ですが、、

よくしている説明は「初回のレントゲンで骨折や損傷がわからないことがあるので痛みが1週間以上続くときは再診してください」です。

紫色とのことで、何らかの損傷はありますので、RICE処置(Rest Ice Compression Elevation)の指導は必要でしょうかっ(^^

 

家庭医

ありがとうございます!指導について参考になります。

ちなみに腱性マレットですと対応が変わりますか?

 

藤井 達也

腱性マレットも保存がメインです。

装具がありますので、整形外科外来なら後日装具作りにきてもらう感じです[→詳しくはポイントレクチャーへ]

 

 
Dr. Fujiiの “ポイントレクチャー”

 

ここでは突き指(マレットフィンガー)の、腱性マレットか骨性マレットかの考え方、受傷機転の聞き方、単純レントゲン検査のオーダーの仕方、治療法について解説します。

医療法人社団翠明会山王病院 整形外科  藤井達也

1. 腱性マレットと骨性マレット

 マレットフィンガーは遠位指節関節(DIP関節)の屈曲変形で、本態はDIP関節の伸展機構の損傷です。大きく分けて2種類あります。

  • 腱性マレット
  • 骨性マレット

です。どちらも受傷機転や診察方法、画像評価は同じです。

2. 受傷機転を聞く(過屈曲の病歴がないか)

バスケットボールやバレーボールなどの手を用いたボールスポーツや、自転車転倒などでも起こるとても一般的な外傷です。過屈曲され、伸展機構が過剰に伸ばされ損傷するというメカニズムです。

過屈曲のきっかけとしてボールが指先にあたったり、転倒して地面に手をついた時などに受傷します。ただ患者本人にとっても一瞬の出来事であり、病歴が特定できないことも多い。

3. 診察のしかた

 DIP関節の伸展を評価します。伸展できなければ何らかの損傷があると判断します。この診察のコツは近位指節関節(PIP関節)を伸展位の状態で評価することです。なぜなら伸筋腱正中索の影響を最小限にするためです。こうすることでより評価しやすくなります。

よくわからない時は左右差をみましょう。診察の際に忘れてはいけないのがPIP関節の合併損傷です。圧痛と関節可動域の確認をしましょう。

4. 単純レントゲン検査は正面、側面で

 チェックすることは2点で骨性マレットと他の合併する骨折がないかということです。骨性マレットはDIP関節伸展機構が損傷する際に末節骨基部に骨折を伴うものです。

したがって、側面像が最も大切です。正面では骨片の大きさなども評価できます。こちらも診察同様PIP関節の評価も行います。腱性マレットでは骨折は認めません。

[骨性マレットは図のB]手の診察マニュアルより作成

5. 治療

 治療方法はDIP伸展装具による保存的治療と剛線固定による外科的治療がありますが、適応についてのコンセンサスは得られていません。ただ、複雑なもの以外は保存的治療で十分との見解が多いです。救急外来では隣の指が正常ならBuddy Taping(隣の指と一緒にテープ(自着包帯)で巻くだけの固定)か、アルフェンスシーネによるDIP伸展位固定で翌日の整形外科外来受診を指示します。

[日本整形外科学会HPより]

本症例ではMPもPIPも皮下出血していたことから合併損傷を考え、副子固定により翌日整形外科受診を指示しました。

記事で疑問は解決できたでしょうか?

AntaaQAは医師専用のオンライン相談アプリです。
現場で患者さんの診断治療に困った場合は、AntaaQAで他の医師に相談してみませんか。

みんなで一緒に患者さんの診断治療に取り組みましょう。

また、現場により良い知識が届くように、記事を改善しつづけていきたいと考えています。最新論文の追加や加筆修正により、より質を高められる点がありましたら、ぜひAntaa編集部までご一報ください。

6. 参考文献

  1. 手の診察マニュアル 原著第3版   南江堂
  2. Cochrane Database Syst Rev. 2004;(3):CD004574.
  3. Plast Reconstr Surg. 2010 Nov;126(5):1624-9. 
  4. 日本整形外科学会ホームページ

医師医学生専用のQAサービス

「AntaaQA」は診療中の疑問を医師が互いに答え、知識をシェアする医師専用のサービス。
いますぐ10秒でユーザー登録!

Antaa QAに10秒で登録する。

  コメント - Comments -

コメントは公開されません。


>現場の判断を助ける、医師同士の質問解決プラットフォーム

現場の判断を助ける、医師同士の質問解決プラットフォーム

「外来で、専門外の症状の診断に不安がある。経過観察をしようか迷う」「当直で、レントゲンで骨折を疑ったが、読影に不安がある。他に人を呼ぶべきか判断に迷う。」そんな時は、AntaaQAでいつでも即相談。第一線を走る医師たち・同じ悩みをもつ医師に質問ができ、判断に迷ってたあなたの悩みを解決に導きます。

CTR IMG