抗うつ薬/使用と選択/高齢者の不定愁訴

第8回のメルマガ特集では、「うつ病」についてのQAをご紹介いたします。

うつ病は、診断が他の身体科の疾患のようにはっきりとしたラインがないため、非常に難しいですが、一説では現在の日本人のうつ病の生涯有病率は3~7%となっています。15人に1人は生涯でうつ病を経験したことがあり、読者の先生方もうつ病の患者さんに関わる機会は少なくないと思います。

ということで、今回は精神科を専門としていない先生からのうつ病についての質問を2つほど取り上げました。ぜひ最後までお読みください!

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抗うつ薬の使用と選択

いつも大変お世話になっております。
個人医院で外来をしてると、たまにうつ病の患者さんが来られて、抗うつ薬の選択に悩むことがあります。
最近の症例では、学校の先生で職員室に入って仕事をすると手が震えたり、動機がして困るので、何か薬はありませんか?と言われました。
先生方の知見をお聞かせください。

抗うつ薬の選択についての質問ですね。

精神科を専門としていなくても、うつ病の患者さんが来られることは少なくなく、質問者の先生と同じような思いをしたことのある先生もいらっしゃると思います。個人のクリニックで働いている先生方は特にこのような経験があるのではないでしょうか。

それでは早速回答を見てみましょう!


外来診療での精神症状への対処は、中々大変ですよね…
抗うつ薬ですが、明確な抑うつ症状が無いなら、しばらく投与を見送るのも良いと思われます。まずは、対症療法でいかがでしょうか。例示いただいた方であれば、プロプラノロールなどが効果的かもしれません。もし、抑うつ症状を認めるのであれば、SSRIやSNRIなどを、単剤少量から開始いただくのが良いかと思われます(どれを選択しても、効果には大差無いです)。選択する際は…

うつ病と一括りにしても、精神疾患は程度の幅がかなりあります。ですから、程度や出ている症状をしっかり整理して、適宜適当な治療を行っていくのが大事なのですね!
抗うつ薬にはSSRI、SNRI、NaSSAをなど様々な種類がありますが、症状が軽い場合は、そもそも抗うつ薬を使わない治療も行うとのこと。
次の回答でもこれに関して詳しく説明をいただいているので、もう一つの回答を見ていきましょう!

少し視点が異なるかもしれませんが、私の方では「もしこの患者さんが精神科を受診したら精神科医はどのように考えるか」を中心に、回答させていただきます。患者さんのご希望や環境から精神科に紹介しにくい場合もあるかと存じますので、その際はご参考にしていただけますと幸いです。 まず、うつ病に関する治療の要点をまとめてみました。
軽症のうつ病に対しては薬物治療を行う前に、非薬物治療(生活リズムの指導、1日30分程度の早歩き、瞑想、リラクゼーション、認知行動療法の書籍紹介)のみで改善する場合も少なくありません。
・軽症〜中等症のうつ病に対して薬物療法を行う際には、SSRI、SNRI、NaSSA(ミルタザピンがこのカテゴリに当たります)など、三環形抗うつ薬以外の薬剤を選択する場合が多く、1種類のみを選択します(抗うつ薬の併用は可能な限り避けます)。使い分けは…

なんと回答ページ3つにもわたるとても丁寧な解説をいただきました!ぜひ、全文読んでみてはいかがでしょうか。
抗うつ薬についての説明はもちろん、現場での問題点や、診断についても教えていただきました。
1人目の先生と同じように、軽症の患者さんにはなるべく抗うつ薬を使わないようにするとのこと。解説いただいたように、抗うつ薬の多剤併用になってしまう危険性や、用量設定の難しさ、処方を辞めるときの問題などがとても複雑なのも大きくかかわっているのですね。
今回は2件の回答を取り上げましたが、他にも数件回答をいただいていますので、ぜひAntaaQAの方で確認してみて下さい!
それでは2つ目の質問に移ります!

高齢者の不定愁訴はうつのサイン?

高齢者の方の不定愁訴に関して質問です。
御高齢の方の不定愁訴が実は高齢者うつの始まりである、という話を耳にしたことがあります。
もちろん、身体疾患の除外は必要だと思うのですが、精神科の先生方に紹介するタイミングなどありますでしょうか?
また、患者さん御本人には、どのように説明して精神科受診をお勧めすれば良いかなど教えていただければと思います。
よろしくお願いします!

2つ目の質問は、高齢者のうつ病についての質問ですね。

「年をとると誰でもうつっぽくなる」と言われることがありますが、一般的な老化現象とうつ病はまったく異なるものです。しかし、高齢者のうつ病は、通常の診断基準に頼るだけでは見落とされてしまう可能性があります。高齢者では、典型的なうつ病の症状を示す人は1/3から1/4しかいないと言われています。症状の一部がとくに強く現れたり、逆に一部が弱くなったりしていることが多いので注意が必要です。
高齢者のうつは若い人のうつと違って、症状の現れ方が違っていたり、認知症と似た症状があったりと見落とされがちです。
そんな高齢者のうつに対して、不定愁訴がキーになるとのお話です。
回答を覗いていきましょう!

不定愁訴を訴える場合は、うつ病、不安障害、認知症の周辺症状としてのうつ、不安や、家庭環境や生活環境を背景にしたうつ、不安が高頻度だと思います。見逃してはいけないのは治療可能なうつ病、不安障害ですが、高齢者の場合、認知機能障害が合併していて、治療抵抗性の場合が多いことも事実です
また、不定愁訴が、実はある特定の病態にくくれるのか(身体疾患らしい)、それともいくつかはくくれて、あとはバラバラ(最も多い)、それとも全てがバラバラなのか、ぐるぐる同じ話をしてしまう迂遠思考なのか、などが診断としての鑑別点だと考えています。精神科受診を勧めるのは…

1つ目の回答は総合診療医の先生からの回答です。
まずは、うつと言っても様々な要因から来ているということですね。その中で、治療抵抗性の場合もありますが、治療可能なものもあるので、やはり適切な診断を下すことが大切なのですね。精神科受診を進める場合は、身体に何らかの害を及ぼす危険性がある時、自殺リスクがある時などとされています。参考になりますね!

認知症サイド(?)からのエキスパートオピニオンはもう少し簡単なスタンスで、認知症と高齢者うつで悩んだ場合には、まずは認知症として治療してみましょう。ということになっています。そもそも区別が難しいから、という前提があるからです。よって、認知症治療薬導入してみて、いまいちだったら精神科に紹介、というルートが推奨されています。抗不安薬や抗うつ薬はハードルが高い気もするので…

2つ目は神経内科の先生からの回答です。
認知症のエキスパートオピニオンの観点からは、まず認知症として治療し、もし認知症ではなさそうならば、うつとしての治療を試みるというフローチャートであるということでした。ただ、うつ病として治療を開始する場合は、抗うつ薬、抗不安薬は扱いが難しいので、精神科受診を進めるとのことですね。こちらの回答も非常に参考になりますね!

参考になる回答をたくさんいただきました!

今回はうつ病について2つ質問をご紹介しましたが、精神科の先生方の専門的な意見や、総合診療医の方からの臨場感のある意見、神経内科の先生からの別の切り口からの意見など、盛りだくさんでしたね!

AntaaQAでは質問すれば、疑問点に関していろんな切り口の意見や知識が得られます!ぜひ、この記事を読んでいる先生方も質問、回答してみて下さると嬉しいです!

 

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