末梢静脈路確保. 必ず成功させるコツ(準備,血管選択,困難事例,メンタル)

研修医が最初に経験する末梢静脈確保。
必ず成功させるために、どんなことに気をつければよいのでしょうか。

この記事は、医師同士疑問解決プラットフォーム “Antaa” で実際に行われたやりとりの中から学んでおきたい内容を回答いただいた先生に執筆いただいております。

末梢静脈路確保. 必ず成功させるためには?  

末梢静脈路(ライン)確保は、医師であれば誰もが行う手技です。どのような心構えが必要なのでしょうか。 

初期研修医1年目

「ラインが取れないのでお願いします」と看護師さんに言われた時, 気持ちでまず負けてしまいます. 先生方はどう臨まれていますか? 

コツなどあれば教えてください。

 

石澤 嶺(救急科

ラインのコツは色々ありますね.

  1. 血管を選ぶ(ふたまたに分かれているところを探す, 手首の橈側, 前腕の尺側, 正肘, 手背など) 
  2. 暖める 
  3. 刺す時に寝かせる 
  4. 内筒に逆血があった時に焦らず少し進めて, 外筒を押す 

などでしょうか.
メンタル的には 

『どうせ難しいから, ゆっくり良い血管探そう』 

という心持ちが大切です.
上手く刺さらなくて, 失敗すればするほどメンタルが下がっていきますので.

 

産婦人科

どんな人でも絶対失敗することはあります.

失敗した時になぜ失敗したのかをちゃんと向き合って考えてtry&errorを行なっていくことでだんだんうまくなってそのうち自信がついていくものだと思います. 

あとは患者さんに丁寧に声かけすることが大事かなと思います。

 

Dr. Ishizawaの “ポイントレクチャー”

 

ここでは末梢静脈路確保の手技のコツ(準備や血管の選択、難しい場合に考えること)、メンタル面ののポイント、患者さんへのうまい声かけについて解説します。是非しっかりと習熟して、「〇〇先生は、点滴が上手だね!」と言われるようになりましょう。 

独立行政法人国立病院機構 東京医療センター 救急科 石澤 嶺(Ishizawa Ryo) 

1. 手技のコツ 

1.1 準備 

 末梢静脈路確保は1人で行うことが多いため、必要な物品を揃えておくことが重要です。(図1)せっかく末梢静脈路が上手くいっても「固定のテープがない!」なんてことになったら目も当てられません。 

[図1 準備物品] アルコール面、静脈留置針、駆血帯、固定テープ、そしてもちろん投与する点滴バックと延長チューブを組み立ててチューブ内を満たしたもの。

1.2 血管の選択 

  1. 隆起している
  2. 関節にかかっていない
  3. 二股に分かれている

血管が末梢静脈路確保に適しているとされています。(図2)1回の穿刺で済むように丹念に血管を探しましょう。 

[図2]黄色矢印部が上記3条件を満たす部分

また、穿刺する際にバックフロー(静脈留置針が血管に刺さったら血液が留置針の中に満たされてくる)が見えるようにサーフローを持つのがポイントです。また、上からつまむようにサーフローを持つことで、穿刺する際により寝かせた形で穿刺することができ、成功率がアップします。 

[図3] 静脈留置針の持ち方

1.3 難しい場合に考えること 

血管が細い場合

温めたり(病棟の看護師さんに相談すると、清拭用のタオルなどを貸してくれます)、アルコール綿でよく拭くと血管が拡張して見やすくなります。 

血管が見えにくい場合

浮腫などであれば穿刺部位を挙上したり、軽く圧迫することで血管が見えやすくなる場合があります。肥満や筋肉などで見にくい場合は、エコーガイド下で穿刺するという方法もあります。

2. メンタル面や声かけのコツ 

意外と重要なのがメンタル面や、患者さんへの声かけです。
メンタル面でのポイントは、 

  1. 「必ず1回で決める」つもりで、入念に準備すること(手技ができる環境を作る) 
  2. 特に血管を探す場合は、丹念に穿刺しやすそうな部分を探すこと 
  3. 失敗した場合は、よく止血して①②を繰り返すこと 
  4. 何回失敗したら代わりの人にお願いするかを決めておくこと 

です。特に④ですが、失敗が続くと自分も患者さんもどんどん辛くなっていくので、引き際を決めておくことは重要です。 

患者さんの声かけに関しては、 

  1. どういう理由で末梢静脈路確保が必要なのか説明する 
  2. 失敗した場合には、「上手くいかなかったので、もう1度穿刺させてください」と断りを入れる 
  3. 代わりの人に手を変えるときには「上手くいかなかったので、手を変えさせてください」と断りを入れる 

がポイントです。当たり前のようなことですが、特に①は重要で、苦痛を伴う処置を受ける患者さん自身が納得している状況でないと、失敗した際に信頼関係が崩れてしまいます。 

後は、若い研修医の先生だと「先生、研修医でしょ?何年目?点滴上手に取れるの?」などと、厳しい質問が飛んでくるときもあります。そういった質問をする患者さんは、本気で私たちの勤続年数を気にしているわけではなく、不安が大きいので、「大丈夫ですよ。上手にやりますね。」などと声をかけてあげると良いと思います。 

慣れないうちは難しいですが、こういった場面でこそ患者さんとのコミュニケーションを大事にしたいものです。 

3. まとめ 

末梢静脈路確保についてまとめました。手技全般に言えることですが、たくさん症例を経験する以上に、毎回の振り返りが大切だと思います。上手くいかなかった理由以外にも、「なぜ上手くいっているのか」を考えることも確実な上達には大切です。 

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4. 参考文献/Webサイト 

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