【おすすめツール紹介】放射線科医が使う!画像診断の勉強方法&おすすめツール

皆さんは放射線科、画像診断をどのように勉強していますか?
放射線科は、教科書に書いていない内容も多く自学が難しい分野の1つです。
様々な参考書があるけれど結局どれがいいのかよくわからない、複雑な読影に悩む…なんてこともあるのではないのでしょうか?

現役放射線科医の和田武先生に教わる画像診断の勉強法

今回、画像診断の勉強方法やオススメの勉強ツールについて、現役放射線科医の和田武先生に教えていただきました!

和田武先生プロフィール

2011年に千葉大学医学部医学科卒業、国立病院機構東京医療センター にて初期研修。2013年より聖路加国際病院放射線科 にて後期研修・チーフレジデントとして活躍。2017年よりがん研有明病院に勤務し、2019年より千葉大学医学部附属病院 にて特任助教を務める。
日本医学放射線学会 放射線診断専門医
「画像診断をもっと身近に,面白く」をモットーに、twitter (@wadase2) で読影やIVRのポイントについて発信しているほか、画像診断に関するHP(画像診断.com)の運営も行っている。
AntaaではAntaaQA 画像診断クラブのオーナーとしてご活躍いただいています。
 
和田先生
目標、期間によって学習の方法は異なります。
医者として必要な知識を獲得する、長期的な勉強についてご紹介致します!

学習のポイント:読影が上手い人=解剖にとても詳しい人

画像は結局、解剖の白黒絵

放射線科で扱う画像は,人体の解剖を白黒絵に写し取ったものがほとんどです。したがって当然のことですが,解剖を勉強することは画像診断を学ぶために超大事です。
読影が上手い人は、解剖にとても詳しいんです。

ここでは画像診断に役立つ解剖の勉強方法について,2つのポイントをお伝え致します!

ポイント① 正確に細かく覚える(関連付けて覚えるのがオススメ)

まず、当たり前ですが解剖をより正確に細かく覚えることが重要です。
例えば、「肝臓」という臓器には,左葉や右葉といった分類だけでなく、区域や亜区域のようなより細かい分類もありますね。

  • 「肝臓に腫瘍がある」
  • 「肝左葉に腫瘍がある」
  • 「肝左葉外側区のS2に腫瘍がある」

このような表現はいずれも同じ意味を表していますが、伝わる情報量としては全然違いますね。
「肝臓に腫瘍がある」だけではどこに病変があるのかを伝えきることができていないのがわかると思います。
このように、正確に細かく解剖を覚えるということは基本的ではありますが、非常に大事なことです。
一方でこのような作業は暗記的な要素が多く大変ですよね。

そんなときには何かと関連づけて覚えていくのがオススメです。
例えば、肺の区域の話をすると、左肺にはS7がありません。
右肺のS7というのは下葉の内側にあるのですが、この位置は左側ではちょうど心臓があるところなんですね。
つまり、左側には心臓があるので、左肺にはS7がはいるスペースがない、という風に関連づけて覚えることができます。
このように関連づけて覚えると忘れにくくなりますので,オススメの方法です。

ポイント② 膜と臓器のつながりをイメージして覚える

画像で通常は見えないけれど、実は重要な構造として、「膜」というものがあります
臓器の上に一枚かぶっている薄い膜をイメージしてもらえればよいと思います。

この膜がなぜ重要かと言うと、一見隣り合って近接している臓器の間にも膜があり、病気の進展を防ぐ障壁になっていたりするんですね。
一方で、この膜がないところ(厳密には膜がないというより、膜に覆われた通路ができているようなイメージです)は病気が進展しやすくなっていたりするわけです。
これらの膜がどこにあり、どのようにつながっているかをイメージできるようになると、まず正常な状態で臓器がどのように他の臓器と連続していくか、ということが分かるようになってきます。

また病的な状態では、病気がどう広がっていくのか(癌の進展など)、病変はどの膜に沿っているのかということがわかるようになります。
さらに、広がり方のパターン(膜に沿っているのか、膜を無視して広がっているのか)を考えることで、診断の助けになることもあります。
このように画像診断において、「膜」をイメージすることは非常に重要です。
外科の先生はこうした解剖を手術で実際に見ているので、画像診断が得意な先生が多く、放射線科医も外科の先生から学ばせてもらうことはたくさんあります。

解剖の勉強方法についてポイント復習

①正確に細かく覚える(関連付けて覚えるのがオススメ)
②膜と臓器のつながりをイメージして覚える

診断に必要な画像をどのように得るか

例えば肺動脈血栓塞栓症を診断するためには、 CTで肺に血栓があることを証明することが必要です。
血栓そのものは単純CTでは分からないことが多いので、造影剤というX線で白く写る薬剤を注入し、肺動脈を造影剤で満たしたうえで、造影剤の流れないところ(造影欠損といいます)を見つけることで血栓を診断することができます。
こう書くと簡単に思われますが、確実に診断するためには、肺動脈が造影剤で十分に満たされる様に造影剤をある程度の流速で注入し、さらには造影剤がちょうど肺動脈を通過するような適切な瞬間に撮影する必要があります。

このように、診断に必要な画像を得るためには様々な工夫が必要になります。
ここは主に放射線科医や診療放射線技師の役割ですが、ルーティンになっている業務・作業だけではなく、発展的な検査(4D画像を作ったり細かい画像を作ったりすること)も行っています。

病気を診断するためにどんな撮影方法が良いのか、いい画像をゲットするための方法を考えると画像診断や撮影がとても面白くなりますので、画像に興味のある方はぜひ、読影室やCT撮影室などに足を運んで放射線科医や診療放射線技師と仲良くしてみてください。

和田先生オススメ!読み終わると読影がレベルアップする本

解剖学

「イラストレイテッド外科手術 膜の解剖からみた術式のポイント」 第3版・縮刷版 
著者:篠原 尚/水野 惠文/牧野 尚彦 
出版:医学書院
上述したように「膜」というのは解剖を考えるうえで非常に重要な構造なのですが、発生から膜の解剖を考えるという点においては最高の教科書だと思っています。
「無駄な線は1本も描かない」という哲学のもと、外科医が描いたイラストはわかりやすく本質的で、手術手技を学びながら解剖に強くなれます。
読み終えると読影のレベルが一段上がったような気になる一冊で、私は放射線科医になってから読んだのですが、「外科医になればよかった!」と一瞬後悔しました(笑)
というのは冗談ですが、そのくらいよい教科書だと思っています。
外科医へのリスペクトもとっても強くなります。外科医志望の学生さんにもオススメです。
「ネッター解剖学アトラス」 原著第3版 
著者 : F.H.Netter
和訳 : 相磯貞和
出版:南江堂
いわずとしれた解剖アトラスです。
読影の際には隣に置いておき、いちいち解剖を確認すると力がつきます。
読影のお供に必須な1冊ですね。

私は学生のときに購入したものを今でも使っています。

胸部単純X線写真(レントゲン)

「シェーマでわかる胸部単純X線写真パーフェクトガイド」
著者:ジェラルド ドゥ レイシー/サイモン モーリー/ローレンス バーマン
和訳:栗原泰之
出版:メディカル・サイエンス・インターナショナル
私の胸部放射線の師匠、聖路加国際病院放射線科の栗原先生が和訳された教科書です。
なによりイラストが美しく、コンパクトに内容がまとまっていて通読できます。
胸部単純X線写真のサインなどについても勉強になります。

中枢神経疾患(特に脳卒中)

「ここまでわかる頭部救急のCT・MRI」
著者:井田正博 荏原病院放射線科部長
出版:メディカル・サイエンス・インターナショナル
初期研修中の救急外来で、「画像の知識やトレーニングが必要だ」と感じることが多いのは、撮影機会の多い頭部CTではないでしょうか?
この教科書では脳卒中を中心とした頭部CT・MRIの画像について症例をベースとして詳しく解説してあります。
脳梗塞の分類や脳出血の時間的な画像経過をサラッと答えられない人はぜひ一読を。

脳卒中の画像診断を研修医レベルから脱出するために最適な1冊だと思います。
研修医の時にはなかなか読み切るのは難しいかもしれませんが、読み終わるとレベルアップしますよ。オススメの1冊です。

救急画像一般

「J-COSMO 救急画像ただいま読影中」
著者:和田武/坂本壮
出版:中外医学社
拙著で恐縮ですが、救急医である坂本壮先生とコラボして、初期研修医の先生から画像を専門としない医師向けに、救急外来で必ず出会う疾患や病態について解説している定期連載です。
コモンな疾患についてのみ解説していますので、救急外来での読影に役立てると思います。
ちなみに中外医学社のnote でも1回の記事が100円で読めます。

和田先生オススメのサイト:診断の精度アップに向けて

疾患の病態や合併症、遺伝子変異などが、画像所見と紐付いてまとまっているところが便利です。
画像はキーイメージのみのことが多いので、疾患の画像を見るためというよりは文字情報の確認のために使っています。
ちなみに放射線科専門医試験の問題と解答も載っていて、私はこのサイトで勉強しました。
正常解剖の断面画像が掲載されているサイトです。
上にある「画像診断まとめ」の姉妹サイトですので、よく往復しています。
断面で見た時に、どこにどんな構造が写っているのか、一目でわかります。
解剖を覚えるのにもおすすめで、医学生の勉強にも使えると思います!
英語のサイトです。臨床所見、病理、画像が掲載されています。
鑑別疾患が記載されていることが便利で、実際に患者さんの画像を見ている時に「この疾患や似た様な画像だと他にどんな疾患が考えられるかな〜」ということを考える時に使っています。
COVID-19など最新情報にも対応し、リファレンスも載っています(古いこともありますが)。
わかりやすく言うと、前述のRadiopaediaのしっかりしたバージョンというイメージですね。
高額なため、個人で契約するのは難しいと思いますが、勤務先の病院で法人契約していればラッキーですね!
やはりこちらも鑑別疾患に有用で、患者さんの画像を見ていて「この疾患かな?」と思った時に、客観的に他の鑑別疾患を挙げて検討する際に使えます。
また、画像所見から疾患を探すことも出来るので、「こういう特徴のある画像だけど、疾患が思いつかない!」という時にも役立ちます。

Doctor’s Advice:画像診断は楽しい!

画像診断を楽しく

画像診断は、クイズ・パズル的な面白さがあります。
丸くてくっきりした腫瘍、造影するとこう染まる、CTではこう見える、MRIではこう見える、などといった画像所見はひとつひとつがパズルのピースのようなものです。
これらのピースがカチッとはまると、どういう疾患か診断することができます。それが画像診断のとても面白いところです。
(このピースとこのピース合わないじゃん!と迷走することもありますが。)
放射線科の勉強を楽しんでやってほしいです!

診断するために必要な画像を意識

出てきた画像を診断するのも面白いですが,この疾患を見つけるために、どういう検査をしようか?と考えるのもとても楽しく奥深いです。
先ほどお話しした肺動脈血栓塞栓症の例のように、工夫をして撮影するわけですね。
そしてこの考えの先に、画像診断の研究があります。
こういう方法で撮ったらこの病気は診断できるのではないか?診断以外にもこんなことに有用なのではないか?この機械ではこの病気がこんなに綺麗に見える!など、工夫は様々で、画像の研究は様々な視点から進んでいます。
そういうところも画像診断の楽しさの一つですので、ぜひ楽しんで頂ければと思います!

和田先生、ありがとうございました!!
画像診断に苦手意識がありましたが、パズルという例えが素敵で、とても魅力的に見えてきました。
紹介いただいた勉強法やツールを使って、楽しみながら学びたいと思います!

 


和田先生が作成された大人気スライドはこちら👇

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夜間当直で撮影したCT画像で、最初にあるスカウトに注目し、撮影範囲の位置決め、全体像の把握、照射線量の調整の3つの役割を…

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和田先生がオーナーを務めている画像診断クラブの詳細はこちら👇

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