【イベントレポート】日本循環器学会 情報広報部会の裏側 #20JCS 今こそTwitter運用!~呟く·広がる·考えるの戦略~

2020年8月17日に行われたオンライン配信「日本循環器学会 情報広報部会の裏側 #20JCS 今こそTwitter運用!~呟く·広がる·考えるの戦略~」をレポート!

先日閉幕した第84回日本循環器学会学術集会は全てオンラインで行うという、極めて異例のことでした。しかしアプリやtwitter、youtubeなどを駆使し大盛況であったことは皆さんもご存知かと思います。今回はその裏側ということで、学会のtwitter運用を支えてくださった3人の先生方に舞台裏を振り返って頂きました!

見逃してしまった方は、AntaaのFacebookグループより配信後も視聴可能ですのでぜひご覧下さい!

登壇者紹介

岸 拓弥 先生(@tkishi_cardiol)

1997年 九州大学医学部卒
2014年 九州大学大学院 医学研究院先端心血管治療学講座 准教授
2015年 九州大学循環器病未来医療研究センター 未来心血管治療学共同研究部門 部門長
2017年 九州大学循環器病未来医療研究センター循環器疾患リスク予測共同研究部門 部門長
2020年 国際医療福祉大学大学院医学研究科循環器内科 教授
日本循環器学会情報広報部会長。
現在はCOVID-19対策特命チームの副委員長も務める。

市原 真 先生(@Dr_yandel)

2003年 北海道大学医学部卒
札幌厚生病院病理診断科主任部長。
病理専門医·研修指導医、臨床検査管理医、細胞診博士。
日本病理学会学術評議員。

福田 芽森 先生(@memori_fukuda)

2011年 東京女子医大卒
2017年 慶應義塾大学病院 助教
2019年 日本循環器学会情報広報部委員/広報大使
循環器内科専門医、認定産業医。
正しくわかりやすい医療情報を伝えたいという思いからサイエンスライターとしても活動。
現在はCOVID-19対策特命チームの委員も務める。

#20JCSの取り組み

福田先生
まず、今回の学会でどんな取り組みをされていたのでしょうか?
部会長の岸先生から盛り上がりも含めてお話いただけますでしょうか!
 
岸先生

皆さんもご存知のように、数年前から欧米の基礎、臨床の学会でtwitterが盛り上がっているというのを実際に私が参加して感じて、悔しかったんですよね。学会自体に参加しなくても、スライドや写真が出てきて討論もされて、学会をリアルに感じることのできるような場は相当羨ましいなと思っていました。

これを日本循環器学会でもやりたいなと思ったのですが、一転して壁があるというのを感じたんですね。1番大きな壁はやはり、日本はまだまだツイッターをやっていると、学会の中で変な人扱いされてしまうということ。

もう一つは、海外の学会ではスライドの権限が学会に移っているので写真を自由に撮影してツイートできるんですけど、日本は残念ながらスライドの権限が演者にありますので、お一人お一人に許諾を頂かないといけない。それをですね、個人でやろうとするとなかなか難しいんです・・。ですが、それでも日本でもこれはやりたいなと思ったんです。

ちょうど2年前に情報広報部会が立ち上がりまして、その当時の日本循環器学会のtwitterの公式アカウントをフォロワーが8人だったんですが、2か月後までに1000人まで増やすことができたら、twitterでの活動を認めていただけるということになりました。

その時からフォロワーを増やすということよりも、日本循環器学会のアカウントを使っていろんな人がそこをハブにして繋がっていくという活動をしたいと思っていました。というのも、医師だけでなく患者さんや患者さんの家族もtwitterを見てますから、できるだけ強い主張をしないとか、できるだけネット上で討論しないようにするとか、一個の論文や一人の意見をあまり強く言わないということにしました。見る人が優しい気持ちになれるようなツイートをすることをずっと心がけていました。そして、2か月を超えたところでフォロワーが1000人どころが2000人になりまして、正式に認めてもらうことができました。

そしてちょうど今年の7月の学会がweb開催になるということで、twitterを使っていくか悩んだんですね。Web開催だったら別に他のセッションも聞けるわけですし、twitterじゃなくてもいいなとも思ったんです。

けれども、他でこんなセッションやってますよとか、あるいは演者自身がツイートに参加してきて大激論になったりとか、いろいろできるなと思って、サポーターの数も50人まで増やしてやってみたんですね。そうすると予想以上にtwitterとweb開催が共鳴して盛り上がってですね、リアルな学会でよりもtwitterで議論が盛り上がって、思った以上にみなさんから評価を頂きました。

それから育休中の方、産休中の方や療養中の方からも病室や自宅からでも参加できたというコメントを頂いて、学会って本来こういうものじゃないかとすごく思ったんですね。ですからwebの開催とリンクして、こうしたtwitterでの盛り上がりが日本でもできるんだというのを、やっている我々がびっくりしたというのがこの間の20JCSという状況でございました。

今フォロワー数が9000人まで増えまして、いろんなイベントもできて、まだまだ問題点はあるんですけれど、この形を他の学会に真似をしていただいて、どんどん日本全体で盛り上がっていただきたいなというのを思っています。

福田先生

今回、新たに2年目の取り組みとして、市原先生とのコラボ企画がありましたね。ご参加いただいた市原先生、ご感想を伺えますか?

 
市原先生

日本循環器学会アカウントが知名度をあげ、協力者を募って、内輪の流れもうまく作って、着々と大きくなってきているところに、僕みたいな人間をどうお使いになるのかなと最初は分からなかったんですけど、非常に深く考えられていたんですよね….。

僕にはtwitterのフォロワーが12万人いるのですが、ここで大事なのは、日本循環器学会の9000人というフォロワーはそのまま「応援者」なわけですが、僕をフォローしている12万人の方はそうではない。多分11万人ぐらいは、僕が何か間違いを犯さないかなと思って見ているということです。テレビのバラエティ番組と一緒ですね。興味はあるがファンというわけではない。我ながら、僕という存在はけっこうあぶない飛び道具です。

そんな僕を入れてしまうと、学会のアカデミックな部分をむしろ弱くしてしまうんじゃないかというのを懸念するものです。ところがそこで岸先生たちが試みられていたのは、学会の活動のうち、「患者さんやその家族が活用する」という部分でSNSを運用すること。具体的には、今、世間を騒がせている新型コロナウイルスの対策という一般向けの議題に対する講演者として僕を使ったということ。リアルな学会でも元々やられていた「市民向け講座」に僕を使ったわけです。

大きめの学会で宇宙飛行士の方、芸能人の方や癌サバイバーの方を呼ぶと、アカデミアの裾野を広げるという意味でスパイスの役目を果たしますね

このタイミングでこういう人間を使うぞという理念が非常にはっきりしている。日本循環器学会公式アカウントが、単に発信を担当するだけでなく、「ハブ空港」としてほかの空港とつながるかのように働いている。大変よく考えられていると思いました。

福田先生

私もコラボ企画を拝見していてすごいなと感じたのが、コメント欄に一般の方がどんどん書き込みをして、双方向性が保たれているセッションだったんですね。

実際に日本循環器学会のアカウントから一般の方へレスポンスしたり、一般の方もハッシュタグをつけてツイートしてくださったり、いい意味で混ざり合うことができていたと思います。とても、ま口の広い、閾値の低い、裾野の広がった学術集会になったかなと思います。

 

現状の課題点とは

福田先生
今回の日本循環器学会は大成功したと振り返ることができましたが、裏では難しいことがいろいろあったと思います。岸先生その点についていかがでしょうか?
 
岸先生

twitterをやっている人がおそらく参加者の1%ぐらいで、盛り上がったといってもやはりごく一部が盛り上がっているだけで、全体が盛り上がっているということになっていませんから、それがやはり今後の課題です。

今回もこれだけかなりツイートをすると、タイムラインが日本循環器学会で埋まってしまいます。それをよかったと言って下さる人もいるんですが、それに対して少しイラっとされる方もいらっしゃったのも事実ですし、そういう意見をたくさん受けました。
ですのでそういうところも気を配らなくてはいけないと思います。

それから、やはりみなさんが自由に写真を撮って自由に討論できるという本来の学会の状況に近づけていきたいと思います。
そこは法的な整備になりますから、そこは学会の中で粛々と正面突破しようと考えております。

公式twitterというのは継続しているということに一番安心感があると思います。
患者さんも含めいろんな人に、日本循環器学会のアカウントはずっと続いているよ、そこをハッシュタグで検索すればいろいろ情報をもらえるよという安心感を与えられるように心がけていこうと思っています。

福田先生
まだまだ医師でtwitterをされている人は少ないので、もう少し広がっていけばいいなと私も思います。
市原先生がtwitterや広報に関してインフルエンサーのような存在だと思いますが、学会に参加している医師にどう広めていくかというところでアイディアや助言があれば伺いたいと思います。
 
市原先生

学会に際して、SNSが担えそうな役割は2つあります。

まず一点は、学会に参加する人にとって、SNSを「使う」と「使わない」の多様性を確保できること。「使おうと思えば使える」というだけで全然違います。ない時よりある時のほうが多彩に勉強できる。これだけでもう既に豊かなんですね。

SNSをやっている人数が1%だとか、2%だなどといったような数字にはこだわらない方がいいです。完全な私見ですが、例えば、学会の参加者の中で、実際に発表した演題を論文にして査読のついた雑誌に投稿した人が何人いるかというのをちゃんと計算してみると…単位を取りに来る人もいれば純粋に勉強しに来る人もいますから、実際、論文投稿にまで続けている人というのはそこまで多くないですよね。

学会参加者の中で論文を出す人がたとえば数%だからといって、その学会が失敗かというとそうではないと思うんですよね。多くの人が集まってくる中で、論文を書くためにという「使い方」で活用している人が何%かいれば、それは素晴らしい、豊かなことだと思うんです。

それと一緒で、アカデミアの場でSNSを活用してよかったと思う人が1%もいれば、そのことは純粋に前進です。これが毎年ちょっとずつ増えるのであれば十分だというのが今のところの僕の考えですね。

もう一点、SNSが作るものは、人と人とのつながりだけじゃなくて、雰囲気や空気を醸成するということがあげられます
学会をSNSまで使って勉強しつくそうとする人がいるという「空気」は、実際にSNSをやっていない多くの会員にも影響を及ぼします。

今回、僕が日本循環器学会アカウントの大きな成果だと思うことは、「医者が楽しそうに勉強しているという空気」が世間一般にぐっと広がったことだと思っています。

実数とか%のところはあまり問題にせずに、空気を作り、多様性を増やしたということで純粋に評価していいんじゃないのかなと思います。

 
 

日本循環器学会の広報の今後

福田先生
早速次の学会も迫っているということで、市原先生に、次の学会に限らず今後の日本の循環器学会の広報に関して期待すること含め、ご意見を伺えますでしょうか?
 
市原先生

そうですね、正直、現状維持だけで伸びると思います。
かなりちゃんと根を張っていらっしゃるので、とりあえずこれを継続するだけでフォロワーが増えます。さらには、学会員の中でSNSをもっと活用してみようかなという人が増えていくと思います。

ただ、SNSを始めて1年ぐらいの人は、慣れていないので短文を書く練習が必要なんです。
ですのでここから5年くらいはトレーニングセッションを意図的に配置するのがいいと思います。具体的に言うとSNS普及委員会の方々が、既に報告されている著作権も大丈夫な素材を作って、仮想のディベート形式のセッションを作るといいのではと。

SNSを使うことで、今までリアルの学会は喋るのが上手な2人ぐらいしか登壇できなかったものが、事実上天井知らずの人数で短文でのディスカッションをできるわけです。それって新しいと思うんですね。なので、まずは練習セッションを組んでいただくというのが、SNSを用いた新しい学会のやり方としてありじゃないかと思います。

 
福田先生
新しい取り組みで勉強になりました。安全運転、平和運営かつそういった自主トレを兼ねてやっていくという感じですね。岸先生は今後についていかがですか?
 
岸先生

本当に今年に入ってから、コロナの影響でいろんな学会が一気に強制的にweb開催になってきましたが、twitterとweb開催の相性がこんなにもいいのかと我々も感じましたし、まだいろんなことが出来ると思うんですね。

僕はtwitterを公式のアカウントでやっていくときの出口は、市原先生の言っていた空気感ですね、日本循環器学会のツイートがこうだよというのを、日本循環器学会の会員じゃない人が楽しく話していただけるというのを考えていたんですよね。

そしてまだ我々は新参者だと思っているので、今やっていることを粛々と続けながら、挑戦もやっていきたいなと。最終的にはリアルじゃなくてもみんなが楽しんで心臓や病気のことを学べて、単位や発表があるからという理由ではなく、能動的に学会に参加してもらえたらなと思います。

先生方にとってつながりとは

 
福田先生

私にとってつながりとは助け合いです。
自分が助けられているところもありますし、自分も助けられるようにどんどん力をつけていきたいです。

 
市原先生

切断と接続を反復することです。

 
岸先生

「間」のこと。人間が人間たるためには、間合いが大切だと思います。

医学生インターン·椿野の感想

はじめまして。8月からAntaaでインターンをしている椿野と申します。
高校時代はtwitter廃人と呼ばれるくらい毎日ツイートしていました。twitterの魅力は、短文で気軽に自分の意見や思いを伝えられることだと思います。日本循環器学会のように学術の学びにtwitterを活用することは、医師以外の方でも学問の扉を開くに当たって背中を押してくれる、良い起爆剤になると感じました。何より、多様な人と相互的に学びを深められる機会があることで、医師もより能動的に取り組むことができると思います。私が医師として働くころには、もしかしたらいろいろな学会がtwitterを運用しているかもしれないと考えると、とてもわくわくします。
ご登壇頂いた先生方、素敵なお話をありがとうございました。

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