【イベントレポート】つながるちからフェス 第9部 医学教育が未来を創る

5月24日(日)に行われた「つながるちからフェス」の様子をご紹介致します。

「つながるちからフェス」は医療現場の最前線で活躍する現役医師が一堂に会するオンラインカンファレンスです。当日は一日中、豪華ゲストが熱く議論し大盛況となりました。

今回はその中から第9部医学教育が未来を創るを医学生インターン木内がお届けします!

登壇者紹介

司会

相田万実子(医療法人鉄蕉会 亀田ファミリークリニック館山 家庭医診療科)

第一部の「JOY女医」でも登壇していただいた相田先生に、今回は司会をしていただきました。

登壇者

長尾 大志先生(滋賀医科大学 呼吸器内科)

医師28年目。モットーは「深く楽しくわかりやすく」。ブリティッシュコロンビア大学等を経て、2005年より滋賀医科大学呼吸循環器科で診療と臨床教育に従事されている。2013年度,2016年度には、滋賀医科大学ベストティーチャー賞を受賞された。
著書:『レジデントのためのやさしイイ胸部画像教室』(日本医事新報社)、『呼吸器内科 ただいま診断中!』(中外医学社)ほか

 

鋪野 紀好 先生(千葉大学医学部附属病院 総合診療科)

医師13年目。2010年より千葉大学医学部附属病院に赴任され、2017年より同病院の総合診療科後期研修プログラム責任者を担当されている。現在マサチューセッツ総合病院で、health professional educationを取得中である。
著書:『内科初診外来ただいま診断中!』(中外医学社)『50のCommon Diseaseから学ぶ診断推論』ほか

 

和足 孝之 先生 (島根大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター)

医師12年目。3度の飯より臨床・教育・研究が好き。溢れる情熱で臨床教育に力を注いでいる。マヒドン大学大学院等を経て2016年より島根大学医学部附属病院に赴任された。2019年にはハーバード大学医学部GCSRTを修了されている。「今回の発言は私の意思であり、組織は何も関係ありません」
著書:『身体診察 免許皆伝:目的別フィジカルの取り方』(医学書院)『マクギーのフィジカル診断学』(診断と治療社)ほか

 

橋本 忠幸 先生(橋本市民病院 総合内科)

医師11年目。麻生飯塚病院等を経て、2015年より橋本市民病院に赴任された。Johns Hopkins大学公衆衛生大学院修士課程を修了されている。若手指導医講習会(ラッツフェローシップ)の主催も行っている。
著書:『実践誌プライマリ・ケア Residents as Teachersシリーズ』(日本プライマリ・ケア連合学会)ほか

COVID-19の教育現場への影響

長尾先生
私の病院では「病院を守る」という大きな方針があり、学生教育は今も止まっています。リモートの実習に関しては、アイデアが出ては消えてという形で進んでいないのが現状です。現場にいる者としては、残念な思いをしております。
鋪野先生
私の病院では2月末に臨床実習が中止となり、5/6〜オンラインでの臨床実習を完全導入しました。オンラインをやってみると意外と反応がいいです。学生同士で学んでいくことは今まで日本にあまりなかった、という気付きがあり、やっていて面白いと感じています。
和足先生
私の大学では、すべての講義をDistant learningに早い段階で移行できました。学生さん達から「すべての学年でオンラインが実行できるようにしてほしい」との意見があり、医学部長や若い先生の協力があってうまくいきました。問題は実際の患者さんを見れないところにあり、もっと掘らないといけないと感じています。
橋本先生
僕はこの中で唯一市中病院ですが、卒後教育に関してはあまり変わっていないです。元々レクチャーを30個くらい動画にアップして使っていました。対面でやってたものはzoomを使って対応したので、あまり被害はありませんでした
研修医には、coved-19疑い,確定患者さんにはタッチさせないようにしているんですが、この貴重な体験を彼らにさせたいし、彼らもそう思っているところがあって、今は電話で問診をやってもらっています。
 

今の状況は医学教育に追い風だ!

今の状況をどのように見られていますか?

和足先生
今回の件で、必要な教育の中でも、face to faceでやらないといけないことと、onlineでも代用可能なこととが、見える化されました。さらに、どのような立場の先生でも感覚として分かるレベルで提供されたのが大きかったと思います。我々は、この経験から今後こっちの方がいいだろうという風に動いていけるようになりました。悪い状況だった中でもいい面を見れたという点で、かなり得をしたと感じています。
相田先生
「得をした」って、具体的にどんなところでそう思いましたか?
鋪野先生
不謹慎な言い方かもしれないですが、今回の件で日本の医学教育は10年進んだなって感じています。そもそもオンラインでやっていたところはやっていたんですよね。橋本先生も一生懸命やられているのを知っていますし、このようにオンラインでやっていくことがnew normalだ、新しいあり方だっていう共通認識ができましたよね。
ここで、大きなイノベーションが起きるんじゃないかっていうのが自分の感覚です。
相田先生
医学教育のnew normalって、どのような形なのでしょう?
鋪野先生
今後Covid-19が収束していって、もし対面での教育ができるようになった時には、onlineとonsideのブレンドが主流になってくるのかなと思います。
鋪野先生の考えに一同大きく頷かれていました。ここでコメントが届きます!
相田先生
学生さんから質問が来ています。「アメリカの友人は、座学は全てオンラインだと2年前から言っていました。日本もそうなっていきますか?」
和足先生
間違いなくなると思います。断言します。そもそも効率的に知識を学んでいくということに対して、常にface to face で、1対100でやる必要はないと思うんですね。私もまたまた海外の大学院に行きますが、1つだけ言えることは、知識を得るのに世界の主流はオンラインになっていくのが間違い無いということです。
 

海外でのオンライン大学院生活から学ぶこと

相田先生
オンラインの大学院に実際に通われた先生方から見て体感はいかがでしたか?
和足先生
昨年までハーバードGCSRTというところにいました。時間の融通が利くとか効率性とか地球上全てをつなぐという点でオンラインは圧倒的なメリットがあると思うんですね。オンラインで学ぶことに対して、実際私も最初は抵抗がありましたが、アセスメントとグレーディングするようなものがしっかりとあれば、問題はなかったのかなというのが自分の経験です。
橋本先生
僕は公衆衛生の方で、Johns Hopkins大学大学院にいましたが、オンラインは大変だったというのが正直な印象ですね。オンラインを提供する側にもコツが要れば、受ける側にもコツが必要で。慣れるのに1年半かかりました。向こうでは評価がすごい大事で、日本だと最後にテストがあってそれで評価が終わりですが、向こうでは中間テスト、小テストがあったり、エッセイを出せだったり。そこがめちゃくちゃ厳しく採点されるんですよね。日本の医学教育は、テストで終わりなのが問題なのかなぁと比較すると思いますね。
鋪野先生
僕は今、MGHの修士課程に行ってますけど、毎週評価されるんですよね。評価されるのって日本だと嫌な感じあるじゃないですか、お互いに。でも評価を受けることですごい良かったのが、自分が今やってることが合ってるのか間違ってるのかっていうのを教えてくれるんですよ。軌道に乗れてるのかが明確になってよかったですよね。
長尾先生
評価に加えてフィードバックがちゃんとあるってことですよね。それが個人の学びになる。海外の方がきめ細かいんですよね。
和足先生
日本のオンライン教育はまだまだアンマチュアーで、いつもやっている1対100のレクチャーをただオンラインでやることをオンライン教育だと思っているんですよ。多分ですけど、全然違うんですよ。大事なのは、オンライン教育ではisolation、1人にしてしまうとダメなのかなぁと思うんですよね。そのあたりを工夫しないといけないと思います。
橋本先生
そうなってくると教員は少なくていいんですけど、教育をサポートする教育専門のスタッフが必要になりますね。動画を編集する人だったり、評価を集めたりする人だったりとか。大学に対する教育への人的なリソースをどれだけ作るかも大事ですね。最近はアウトソーシングできるものも増えているので、そのようなものを利用していくこともオンラインで学習するには、大事かなぁと思います。
和足先生
日本の大学では、教育は我々教員がしなければいけないというミスリーディングがありますよね。もっとアウトソーシングしていいと思います。
 

オンライン教育の未来

和足先生
誤解を恐れずに言うなら、知識に関しては、本当に優れた教養を教える先生がオンラインで日本全国の大学でやっちゃってもいいくらいなんですよ!
そうなると、現場の先生って何のために存在して教えているのかという価値観が崩壊し、新しいモデルと新しい評価基準、そして新しい考え方と教育哲学が出てくるんじゃないのかというのが私の考えです。
橋本先生
僕も大賛成ですが、そうなると、2つ気をつけないといけないことがあると思います。1つが、動画を撮る難しさですよね。時間が解決すると思いますが、作り方にも理論があって、対面講義とは違うスキルが必要になると思います。2つ目は、対面で何を教えるのが大事なのか?と言う点です。僕は、コミュニケーションプロフェッショナリズムだと思いますが、対面じゃないとダメなことって何なのでしょうね。
長尾先生
そうですね。現場の熱はオンラインでは伝わらないものがあります。そこにこそ僕らの存在価値は出てくると思っています。現場のドクターがしっかり患者さんを見てるということをちゃんと教える。「これがいい医者や」っていうのを僕らが持っていて、それを見せたり体験させたりは、していくべきだと思いますね。
鋪野先生
オンラインは、自分の時間でやれるメリットがありますが、モチベーションが落ちちゃう人が一定数いるんですよね。その人たちにいかに火をつけるのかが、僕たちの仕事だと思っています。そこは、オンラインとオンサイドをうまくブレンドさせるのかが大事だと思いますね。
長尾先生
そうですね。対面では火をつけることも重要ですね。実際に患者さんをみて「こうやったら患者さん凄い嬉しそうな顔しはったよね!」とかそういう所で、おー!勉強しなきゃ!っていう風に思ってもらうことを大事にしていますね。

火のつけ方ってどうしてるんですか?

和足先生
私自身が一つだけ答えれることとすれば、やりたいことをさせるということです。
教育の押し売りのようなことをすると、今の学生には嫌われるので、何も言わないというのが私のスタンスに近いかもしれないです。
橋本先生
僕も押し付けないようにしていて、とにかく「あっ!おもろいな!」って思わせることを最重要にしていますね。そこしかないんじゃないですかね。
鋪野先生
僕らが楽しんでいないと伝わらないですよね!僕ら疲弊している感じ見せたら終わっちゃいますからね。
長尾先生
僕も意識としては自分が「あっこれ面白い」って思ったことを共有するようにしています。僕は胸部レントゲンを教えることが多いですが、「これが見えたらすごい!」「こんなの見える?見える?」みたいにこっちが面白がってやるようにしています。
 

 

先生方にとって「つながり」とは

長尾先生

つながりとは、教育の醍醐味です。
医学生の人が研修医になり、お医者さんになり、立派になっていく様子を見ていく中で、つながりを今でも持てていることが、すごい嬉しいです。

 
鋪野先生

つながるというのは、グレートパワーだと考えています。
僕はスパイダーマンが超大好きで(笑)、「大いなる力には大いなる責任が伴う」という言葉があるんですね。
繋がることで、先輩・後輩だったり、いい連鎖が生まれてくるので、それを正の方向に持っていきたいです。

和足先生

つながるというのは、ぶつかることでもあると思います。
私の座右の銘に「パチンコ玉」というのがあります。パチンコとパチンコ玉が擦りあって初めてピカッと光ると昔習いました。だから曇らないと。パチンコが常に曇らないのは、ぶつかり合ってるからですね。
ぶつかり合うことによって、初めてお互い磨かれる。そういった意味でも繋がっていければと思います。

橋本先生

つながりとは、「出会い」だと思います。
出会いがないとつながりが始まらないです。そして、大人になってからの出会いは、とっても大事だと思います。もちろん昔からの繋がりも大事ですけど、今こそ新たに繋がる、出会うことも大事なのかなぁと思います。

医学生インターンの感想

今回のセッションでは、4人の高名な先生方が、熱い議論を繰り広げられていて、日本の医学教育は間違いなく変わっていくのだろう。と希望を抱かずにはいられませんでした。

教育は、体力・学力・人間力に大きく分かれると聞いたことがあり、それは医学に置き換えると知識・技術・プロフェッショナリズムに相当すると思います。オンラインを交えることで知識面でのレベルアップ、そして、シナジーが起きて医学教育全体のレベルアップが起きていく未来を感じました。課題についても先生方から教えていただきましたが、解決の方向性をそれぞれの先生がお話しされていて、前に進んでいく展望が強く感じられました。

日本中に暗い影を落としたCOVID-19ですが、その中で見つけたオンラインという光が、医学教育の未来を明るく照らしている、そんなことを確信するあっという間の50分でした。

セッション後のコメントは「続きが見たい」という声で溢れていました。私もその1人です。

アンター株式会社 木内瑛大

 

記事化できたのは、映像のごく一部です!
配信を見逃した方、もう一度見たい方は、医師医学生限定Facebookグループにて視聴いただけます。

【第1部の配信】
JOY女医 !
皆さん、おつかれシャムです。
海を渡ったドクターたち
熱血救急医!
COVID-19時代のヘルステック

【第2部の配信】
SNS時代のスーパースター
スーパー在宅医
適々斎塾の軌跡と未来
医学教育が未来を創る
レジェンドの集い

【第3部の配信】
今だからこそ感染症を明るく語ろう
Another dimension!次元の彼方へ
診断推論達人談義

各部 レポート記事

第1部 JOY女医!

「JOY女医!」

まだまだ少ない女性医師。普段聞けない貴重な女医会!赤裸々な会話はまるで女医版SATC??必見です!

第2部

「皆さん、おつかれシャムです。」

COVID-19の流行に伴い、生活への影響は大きなものでした。環境や体調の変化で人が変わってしまう??何が起こっているのか、そして一体どうすれば??

第3部

「海を渡ったドクターたち」

世界で活躍する医師たち。日本から旅立った理由も、活動の内容も、個々それぞれ。医師なら誰でも胸が熱くなる会話が繰り広げられました。

第4部

「熱血救急医!」

状況によって柔軟な対応を求められる難しい救急。多岐にわたる対応そして、患者さんは笑かして帰らさなあかん?!

第5部

「COVID-19時代のヘルステック」

COVID-19は医療のあり方にもインパクトを与えました。ヘルステックは今後どうなっていくのでしょうか??

第6部

「SNS時代のスーパースター」

情報発信で世の中に貢献している医師たちの本音。しゅんしゅんクリニックPこと、お笑い芸人として活躍する宮本 駿先生も加わり、新時代の医師の活動について語りました。

第7部

「スーパー在宅医」

コロナの影響で、診療体制も大きな変化がありました。在宅医として活躍する皆さんはどの様な対応をされているのか??リアルなお話。

第8部

「適々斎塾の軌跡と未来」

開業医の、開業医による、医師・医学生のための医学塾「適々斎塾」。終わることのない、医学探究の情熱が画面を通り越して伝わるセッション!

第9部

「医学教育が未来を創る 」

様々な患者さんを治療するため、医師になるにはたくさんの知識と経験が必要になります。その教育に携わることは未来を創ること

第10部

「レジェンドの集い 」

医療界のレジェンドと呼ぶのにふさわしい方々に集結いただき、姿勢を正して!と気合が入りますが、とても和やかな日常を垣間見せていただきながら、様々なエピソードを伺いました。

第11部

「若手開業医スペシャル」

独立して地域医療を展開する開業医。
個々の想いを胸に、奮闘されるリアルな会話が繰り広げられました。

第12部

「今だからこそ感染症を明るく語ろう」

新型コロナの流行でますます需要が注目される感染症内科医。今回の大流行で診察の基本原則を見直すチャンス??ペットも登場!

第14部

「診断推論達人談義」

様々な経験を積むことが、医師として大切な成長要素。1人1人が良い医師になって欲しい、成長を支える先生方の想いが伝わるセッションです。

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