【イベントレポート】つながるちからフェス 第4部 熱血救急医!

5月24日(日)に行われた「つながるちからフェス」の様子をご紹介致します。

「つながるちからフェス」は医療現場の最前線で活躍する現役医師が一堂に会するオンラインカンファレンスです。当日は一日中、豪華ゲストが熱く議論し大盛況となりました。

今回はその中から第4部「熱血救急医!」を医学生インターン飯嶋がお届けします!

登壇者紹介

司会

白神 真乃先生(一宮西病院総合救急部 /一宮西病院総合救急部 CMO)

登壇者

      

林寛之先生(福井大学医学部附属病院 総合診療部)

山上浩先生(医療法人沖縄徳洲会 湘南鎌倉総合病院 救急総合診療科)

坂本壮先生(地方独立行政法人 総合病院国保旭中央病院 救急救命科)

徳田嘉仁先生(近江八幡市立総合医療センター 救急科・総合内科 滋賀家庭医療学センター)

救急外来で患者を救い、後進を育成し続ける熱血救急医の先生方はどんなことを考えているのでしょうか。
研修医教育に焦点を当て、お話しを伺いました。

多忙な救急外来での研修医教育について

林先生

はい、坂本先生どうぞ!!

坂本先生

そうきましたか!
私は今でも研修医の先生と救急外来を担当することが多いですね。
国保旭中央病院だと研修医が一学年30人、全部で60人いますが、沢山の研修医がいる中で、研修医それぞれに言い方を変えています。
そして、研修医から相談されないと、いいマネジメントできないとも考えています。
距離を近く、なるべく普段から関わるようにして、気軽に相談できる環境づくりをし、相手が今なにを困っているのか1人1人把握できるようにしています。

配信のコメント欄には、配信をライブ視聴している研修医からのコメントが沢山集まりました。
坂本先生が普段から研修医との関係づくりをしっかりされていることがうかがえます。

徳田先生

私はちょっと前まで研修医でした。そして、今でも研修医のつもりでやっています。
そして、救急は難しいと思っています。
研修医に対する教育の基本スタンスとしては緊急性疾患の除外を、ということで教えていきますが、バランスが難しいですね。

山上先生

私の場合は、その場しのぎの、「明日内科に行ってください。」「明日外科に行ってください。」といったことは言うなと教えています。
なんでこの患者は今日来たのかを考えて、出来る限りの内科的診断や、外科的処置をやるように教えています。
それが研修医にとってのモチベーションになるし、診断学の学びになると考えています。

林先生

初期研修医は、外来に送った時に、自分が送られてきた側の担当医だったら、次にどのような精査をし、どのように話を聞いていくのかを考えて外来での診療にあたるように言っています。

坂本先生

多少症例が偏ったりすることもあるので、シフトの終わりの時に、今日の学びを1分で話してもらうなどして、症例を共有しています。

林先生

私が研修医に教えていることで、具体的には3つあります。
①常に鑑別診断をあげ、検査も鑑別を挙げてから
②Semantic Qualifier
患者の訴えを医学用語にしっかり変換するということです。
目眩を目眩のまま捉えて診察するのではだめだということです。
SQは初期研修医の間に身につけてほしいことですね。
患者は全身倦怠感を訴えてくることは絶対にありません。食べれない、動けない、トイレで立てなくなった、入院させてほしい。こう言った患者さんをしっかり見れるようになってほしいですね。
③患者を笑わせて帰せ!
死にそうでない限りは、とにかく笑わせること!
来てよかった、楽しかったと思わせること!これが大事ですね。

 

坂本先生

怖い疾患を除外することは当然ですが、よくある疾患を確定させることが近道だなということはよくあります。
心筋梗塞を除外することは難しくても、胆石だと診断できれば速いですよね。
習ってきたことと現実が違うことはあるので、なぜこうなったのか考え、最後にしっかり辻褄が合うのかというところを意識して説明をしています。
そして、午前中のことは昼を食べながら振り返りをしますし、毎週の振り返りとしては、他科の先生を交えて振り返る時間を作っています。
研修医を守る、というところで言うと、他科にコンサルトしたが、同じ科でも先生によって意見が違い、前回と同様の対応をするとたしなめられて研修医が困惑してしまうことがあります。
病院内でなるべく対応を統一できるように計らっています。

林先生

研修医はすごく真面目で、
下痢あり、腹痛あり、頭痛なし、など症状をプラスマイナスで報告してくることが多いです。
ただ、突然発症しました、というのはえてして突然じゃないことが多かったりもします。
ドクターGのような再現フィルムを作ってくださいとなった時に、ありありとつくれないようでは、
病歴の取り方は甘いですね。

そして、患者さんの話を聞くときはリアクションが大事です。
とにかくハ行で返すことが大事と教えています。
はー(傾聴)」、「ひぇー!(驚き)」、「ふぉー!(驚き)」などですね!

山上先生

研修医のプレゼンで、「前から肩痛い」「前から頭痛い」と説明する人がいます。
これでは「前」っていうところを詰め切れていないですよね。
5年前なのか、1年前なのか、2週間前なのかを掘り下げて問診しないと、ガンを考えるのか血管病変を考えるのか定まらなくなってしまいます。
しっかり病歴が取れていないときは、研修医と一緒に取りに行き、病歴の取り方を学んでもらうこともしています。

徳田先生

情報は人の言葉が挟まると、解釈に変わってしまい、真実ではなくなってしまいます。
患者の言っている言葉は、患者の解釈が入っていて、その段階でもはや真実ではありません。その意味で「患者は嘘をつく」ということになります。
また、患者の言葉を医師が受け止めて、鑑別、診断する時点で、それは真実ではなくなります。
ここで医師である自分を疑う必要が出てくる。
情報の解釈を育てる必要があると思っています。
是非時間のある学生は、コロナのインフォデミックな状況にあり、どう情報を扱っていくのかを学ぶ機会にして欲しいと思います。

重症患者を見ている時など、余裕がない時の研修医への対応について

坂本先生

余裕がない中でも、段階を踏んで経験を積んでもらうということはやっています。
多発外傷が来て、いきなり挿管させることは難しいですが、ルートを取らせる、採血をさせる、FASTをさせるけど、そのあと自分たちでもう一度やるなどはしています。
症例数が多くない病院では、症例が偏ってきてしまうということもあるかと思いますが、勉強になる症例については、ビデオを見たり、カルテだけでもみて、学びを共有する様にしている。
そして、急変した時、緊迫したときこそ、上級医、指導医が冷静に対応することを意識していますね。

白神先生

重症患者を診察する際や、ストレス負荷がかかったときに、自分自身のアンガーマネジメントをするコツはありますか?

林先生

すごくクリティカルな状態では、自分のキャパシティーを超えると、声を荒げてしまったりするのは普通のことなので、自分を責める必要はあまりないと思います。
重症のときは、患者さんのマネジメントが中心になるのは当たり前で、研修医にあまり構っていられないというのもしょうがないことです。
声を荒げないためには、歳を取ることです!

山上先生

私も出来るだけ冷静にいることを心がけています。
上級医がメインにならないと患者さんを救えないという場面はあると思うので、研修医は外野にはなってしまいますが、ポイントポイントで、なにを評価している、なにを考えているのかというのを声に出して共有することで、一緒に診療に参加してるような雰囲気を出すようにしています。
細かいところでも役割を与えて、一体感を出してあげることも大切ですね。

徳田先生

患者さんか暮らしている家を想像できるような、問診をする様に教えています。
救急外来でも高齢者総合機能評価はさせるようにしています。
玄関の上がりかまちの高さはどれくらいか。
1階でのできごとか、2階での出来事か。
患者さんがどう生活されていたのかをイメージできる問診をしないと、鑑別も上がってきません。
結局家に行ったことがないと想像できないという部分もあると思います。
私は4年目に家庭医療学にコンバートしました。その期間に訪問診療を経験して、再び救急に戻ってきています。
今後は、救急外来での家庭医学の実践を、研修医教育に広めていきたいと思っています。

坂本先生

圧迫骨折などの症例だと、ベッドが一杯なことも多いので、なんとか患者さんを家に帰そうとマネージメントすることは多いです。
そこで大切なのは、帰宅可能なのか、入院が必要なのか、というところを、軽傷か重症かの目線だけではなく、そのあとの対応を踏まえて判断できるようになるということだと思います。
圧迫骨折で、なんとか家に帰すことができても、家で動けずに、横紋筋融解症になり、腎障害になってしまった。
これではいけないので、帰宅後のことも含めてアセスメントするように教えています。
そして、どんな症例でも学びはあります。今回はこうだったけど、あの方がもし腎機能悪かったらどうマネージメントした?という質問をしたりして、教育にも繋げるよう意識しています。

徳田先生

何気ない会話で、患者さんとの距離を縮めることも大切ですよね。
何気ない犬っていうキーワードが出てきたら、拾って…
「犬飼ってるんですか?犬の名前なんですか?」等の質問ができて、患者との距離感変わってきますもんね。

林先生

徳田先生のおっしゃるように、どうでも良さそうな雑談はとても大事だと思います。
雑談力ってどうしたら身につけられるのでしょうか。

徳田先生

コミュニケーションというのはスキルとして身につけていけるものだと思います。
学部から飛び出て、色んな人と積極的にコミュニケーションをとっていくことですかね!
新しい人と話すときには、短時間で相手のニーズを引き出して、相手の面白いと思うようは話をして、というところが重要になってきます。
そういった場数を踏むことで、雑談力を鍛えられるのではないでしょうか?

坂本先生

カーテン越しでもいいので、上級医の患者さんに対する言い回しを学んだり、傾聴の仕方を学ぶように言っています。

林先生

雑談力も大事ですが、坂本先生のおっしゃるように、共感力も大切ですよね。
救急外来は必ずしも疾患だけでなく、社会的背景、仕事の関係で症状が出ている時もあります。
こういうときは、共感する態度を持って、話を聞くということも1つの治療ですね。

先生方にとって「つながり」とは

徳田先生

つながりは、「川の流れ」だと思います。
もちろん行きたい方向は自分で決めなければいけないが、自分で漕がなくても、自分を何処かに連れていってくれるものですね。

坂本先生

初療を担当した後、他科の先生にバトンタッチし、自分はあまり患者さんから感謝されない、美味しいところを持ってかれる、という思いを抱き、もどかしい時期もありました。
今となっては、より早い段階で情報をキャッチして、ここでこのタイミングでコンサルトできたから、変なプライド捨てて謙虚さを持てたから、というところを痛感するようになり、うまくバトンを渡せるようになったと感じています。つながりができることで、最終的に患者さんがハッピーになればいいのかなと思っています。

山上先生

つながりとは「運、そして出会い」だと思います。今日も配信を視聴してくださっている方と、我々出演者がつながったわけですが、これも一つの運だと思います。つながりは、自然にできてくることもあるが、自分でとりにいかないと出会いがなかったり、繋がれなかったりします。掴みにきた人しかつかめないものだと思うので、何事も積極的に行くことが大切だと思います。

林先生

チコちゃん風にいうと、「人間死ぬときに幸せだったと言えること!」でしょうか。人間死ぬときには、お金も、地位も持っていけません。いい人間関係を持てたということは1番の財産になります。
私もいい人間関係で繋がっていたいですね。

 

医学生インターンの感想

全ての道はローマに通ず。
今直面している課題は何なのかを瞬時に見抜き、明文化する。
いくつもの対策の中から、最適だと思われるものを選択し、実行する。
この基本的な課題解決の能力は、医療だけではなく、日常生活や、ビジネス等、全ての場面で大切になってくることだと思います。

今回、日々患者の命に向き合い続け、多忙の中にありながら、若手・後進の教育に尽力される先生方と、事前のリハーサル、トークテーマ選定を経て、お話しを聞かせて頂き、学生・研修医のうちに身に付けるべき基礎力について学ばせて頂いたことは、少なからず私の医学に対する考え方を変え、船首を然るべき方向に向けて下さった気がしています。

死ぬときにいい人間関係でつながっていたい。
この思いを大切に今後の人生を歩んでいけたらと思います。
今回は貴重な機会を頂き、有難うございました。

医学生インターン 飯嶋俊也

記事化できたのは、映像のごく一部です!
配信を見逃した方、もう一度見たい方は、医師医学生限定Facebookグループにて視聴いただけます。

【第1部の配信】
JOY女医 !
皆さん、おつかれシャムです。
海を渡ったドクターたち
熱血救急医!
COVID-19時代のヘルステック

【第2部の配信】
SNS時代のスーパースター
スーパー在宅医
適々斎塾の軌跡と未来
医学教育が未来を創る
レジェンドの集い

【第3部の配信】
今だからこそ感染症を明るく語ろう
Another dimension!次元の彼方へ
診断推論達人談義

各部 レポート記事

第1部 JOY女医!

「JOY女医!」

まだまだ少ない女性医師。普段聞けない貴重な女医会!赤裸々な会話はまるで女医版SATC??必見です!

第2部

「皆さん、おつかれシャムです。」

COVID-19の流行に伴い、生活への影響は大きなものでした。環境や体調の変化で人が変わってしまう??何が起こっているのか、そして一体どうすれば??

第3部

「海を渡ったドクターたち」

世界で活躍する医師たち。日本から旅立った理由も、活動の内容も、個々それぞれ。医師なら誰でも胸が熱くなる会話が繰り広げられました。

第4部

「熱血救急医!」

状況によって柔軟な対応を求められる難しい救急。多岐にわたる対応そして、患者さんは笑かして帰らさなあかん?!

第5部

「COVID-19時代のヘルステック」

COVID-19は医療のあり方にもインパクトを与えました。ヘルステックは今後どうなっていくのでしょうか??

第6部

「SNS時代のスーパースター」

情報発信で世の中に貢献している医師たちの本音。しゅんしゅんクリニックPこと、お笑い芸人として活躍する宮本 駿先生も加わり、新時代の医師の活動について語りました。

第7部

「スーパー在宅医」

コロナの影響で、診療体制も大きな変化がありました。在宅医として活躍する皆さんはどの様な対応をされているのか??リアルなお話。

第8部

「適々斎塾の軌跡と未来」

開業医の、開業医による、医師・医学生のための医学塾「適々斎塾」。終わることのない、医学探究の情熱が画面を通り越して伝わるセッション!

第9部

「医学教育が未来を創る 」

様々な患者さんを治療するため、医師になるにはたくさんの知識と経験が必要になります。その教育に携わることは未来を創ること

第10部

「レジェンドの集い 」

医療界のレジェンドと呼ぶのにふさわしい方々に集結いただき、姿勢を正して!と気合が入りますが、とても和やかな日常を垣間見せていただきながら、様々なエピソードを伺いました。

第11部

「若手開業医スペシャル」

独立して地域医療を展開する開業医。
個々の想いを胸に、奮闘されるリアルな会話が繰り広げられました。

第12部

「今だからこそ感染症を明るく語ろう」

新型コロナの流行でますます需要が注目される感染症内科医。今回の大流行で診察の基本原則を見直すチャンス??ペットも登場!

第14部

「診断推論達人談義」

様々な経験を積むことが、医師として大切な成長要素。1人1人が良い医師になって欲しい、成長を支える先生方の想いが伝わるセッションです。

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