【イベントレポート】つながるちからフェス 第2部皆さん、おつかれシャムです。

5月24日(日)に行われた「つながるちからフェス」の様子をご紹介致します。

「つながるちからフェス」は医療現場の最前線で活躍する現役医師が一堂に会するオンラインカンファレンスです。当日は一日中、豪華ゲストが熱く議論し大盛況となりました。

今回はその中から第2部「皆さん、おつかれシャムです」を医学生インターン相京がお届けします!

登壇者

司会

  

白神真乃先生(一宮西病院 総合救急部)

アンター関西副代表

登壇者

佐田竜一先生(公益財団法人天理よろづ相談所病院 総合診療教育部)

言わずと知れた卒後教育のスペシャリストであり、卒前教育にも深く携わっている。曰く、「実際奈良ではそんなにCIAMSの人はいない」と。

 

國松淳和先生(医療法人社団永生会南多摩病院 総合内科・膠原病内科)

不明熱のスペシャリストであり、CIAMSの提唱者でもある。当日の髪型はコペルニクス、あるいは新型コロナウイルスを模したもの。

 

忽那賢志先生(国立国際医療研究センター/国際感染症センター)

感染症水際対策の最前線に立つ。「わたくしの発言は組織を代表するものではありません。」

CIAMSとは何か?

白神先生
今日は皆さん、ご自由にお話いただければと思います。
どうぞよろしくお願いします。
佐田先生
まず「皆さん、おつかれシャムです」って何でしょう。そもそもCIAMSとは?
國松先生

コロナウイルスに罹っていない人も不安になる。さらに、度を越すこともある。しかし、そういったことは問題ではないと思います。精神科用語になるけれども、精神的加重によってconversionや転換が起きると、これは問題です。性質が変わること、急にその人らしくないことをすること、周りにいる人が違和感を覚えること。外見は明らかに奇異であっても、本人は本気なので、周囲の人が指摘することが重要です。コロナウイルスによる精神的な変化は、この転換と同じ機序ではないか、と考えています。

転換の症例は救急外来で経験できます。たとえば、非常に騒がしい患者さんがいて、精神科医でも呼ぼうかと思って対応していたら、心電図で急性心筋梗塞が発覚する。ちょっと頭がおかしくなってしまったようであるということで来院された患者さんに脳卒中が見つかる。臨床医であれば、無数にサンプルが浮かぶはずです。体の病気がトリガーとなって、精神に変調をきたす。このトリガーを、コロナウイルスに対する不安に求めて、CIAMSという概念を提唱しているわけです。

佐田先生
なるほど、患者さんのしんどさが前提にあるわけですね。普段ではありえないようなことが起こる。
忽那先生

内科疾患ではなく、新型コロナウイルスに対する不安を抱えていることが変容をもたらしている、というわけですね。

CIAMSは適応障害のことを言っているわけではない、CIAMSそのものが新型コロナウイルスに対する適応であると理解しています。

國松先生

確かに、CIAMSは適応障害や病気とは異なるものです。テレワークによる負担が問題になっている事例などはCIAMSではない。CIAMSは不安に対する適応であって、CIAMSになってしまうくらいのほうがよい。不安の拡散力は新型コロナウイルスの感染力の比ではない。この難局で頑張りすぎてはいけないわけです。「まだCIAMSってないの?」みたいに、キャンペーン化してもよいかもしれない。

佐田先生
マスク着用が義務のようになってしまったり、咳をしただけで非難の眼差しを向けられたり。こういった社会的攻撃性の増長は確かに新型コロナウイルスの影響であるように思うのですが、CIAMSの概念とも少し異なるように感じられます。
國松先生
CIAMSは社会的ではなくバイオロジカルな概念です。個々人のレベルでは、もともとのパーソナリティが増長しているだけではないでしょうか。社会が他罰的な傾向を許容してしまっているということはあると思います。
佐田先生
ひとまず、CIAMSの概念の射程としては、不安に対する適応としてCIAMSになってしまった上で、その状態を乗り越える、ということでよいのでしょうか。
國松先生
CIAMSそのものは単なる適応に過ぎないので、とにかくCIAMSになってしまおう、ということです。しかし、唯一の懸念としては、転換による負担が抑うつを招いてしまってはいけないので、雑談や音楽によって負担を和らげることはあってもよいと思います。

新型コロナウイルスとCIAMSの将来性

佐田先生
今後のCIAMSとの付き合い方を考える上で、新型コロナウイルスに関する将来的な予測を共有しておいたほうが良いですね。
忽那先生
日本の状況は非常に落ち着いてきています。具体的には、PCRの陽性率も下がってきています。しかし、これは第一波が落ち着いてきているということであって、第二波、第三波はまたやってくると思います。第一波のときと同様に、海外からの輸入症例は避けられないでしょう。しかし、CIAMSのピークは新型コロナウイルスからは少し遅れて出てくるように思います。
白神先生
免疫反応のせいで初感染より再感染が重篤になる感染症があるように、第二波を承けて一層ひどいCIAMSになるようなことはないのか、と質問が来ています。
國松先生
そんなことはありません。CIAMSは適応であって、もし一層状態が悪くなるということであれば、単に具合が悪くなっているということです。
佐田先生
新型コロナウイルス感染症は社会的に大きなインパクトを与え、世界的に適応が求められています。しかし、こういうことは我々はこれまでにも経験してきたように思います。たとえば、比較することの妥当性はさておき、阪神淡路大震災や東日本大震災などは我々の社会に甚大な被害を生じさせました。特に被災された方々には今でも哀悼の思いはありますが、我々はなんとか適応してきたように思います。
一方で、新型コロナウイルス感染症の特殊性というものもあると思います。先に例示したような震災は局地的であって、救う人と救われる人がいる状況でしたが、今回は、発症者数のばらつきはあるにせよ、日本全国、世界全体で起きているイベントです。
忽那先生
感染症でこういうことを言い始めるとどうしようもないわけですが、感染させる人と感染させられる人との対立構図ができてしまっています。攻撃性の増長にも関連することですね。しょうもない、かなしい争いです。
佐田先生

緊急事態宣言中に旅行した芸能人が批判を受けている様子を見ていると、批判の気持ちがあるかはさておき、それを口外するのは大変危険な現象であるように思われました。一方で、自分自身ももちろん批判的な気持ちを持っていることがあります。とすると、この問題は”どうすれば陰性感情を減らせるか”と言い換えることが出来るかもしれません。
國松先生
変な人を自分のなかで定義すると距離を取ることができます。つまり、対応の仕方が見えてくるということです。医者として患者さんに対してやっていることと変わりません。しかし、CIAMSは病気ではありませんから、その点には注意が必要です。

「平静の心」をもたらす音楽

佐田先生
登壇者の先生方から、CIAMS時代に効く、おすすめの音楽を紹介していただきたいと思います。平静の心をもたらすようなイメージですかね。まずは國松先生から。
國松先生
私にとって辛い時期のメタファーは浪人時代です。浪人生の頃に聴いていた音楽はよく記憶に残っています。たとえばMr.Childrenのアルバム「深海」は、ポップ感がないところがかえってよい。もし気持ちが沈んできてしまったら、ホフディランの「スマイル」を聴きましょう。こちらについては最近カバーバージョンが出ましたね。
忽那先生
私も辛い時期といえば浪人時代を想起します。サニーデイ・サービスの「東京」は、心を落ち着かせるために。シンガーソングライター・前野健太の曲は、心を奮い立たせるために。いずれにせよ、静かな感じの曲を好んで聴いています。
佐田先生

私はお二人とは少し違う趣味で、S.L.A.C.Kの「NEXT」を紹介します。特にサビの歌詞がよい。私も考え込まないで生活したいですね。また、現在同氏は名義を変えて5lackとして活動しており、東京五輪に併せて、SILENT POTESとのフィーチャリングで「東京」という曲を出していました。東京の雰囲気の変化に思いを馳せながら聴いています。

白神先生
私からはクラムボンのアルバム「LOVER ALBUM」をおすすめします。天気の良い日の朝にあう、ゆるい曲調のカバーアルバムになっています。

先生方にとって「つながり」とは

佐田先生

「つながりとは」ということに関しては特にコメントはありません。私は好きな人とつながっていたい。

忽那先生

國松先生と同意見です。

國松先生

「つながり」は日本人が生まれ持ったものです。「つながり」よりも個の力を上げていきましょう。

 

 

 

医学生インターンの感想

のっけからプライベートな話題で恐縮だが、私は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うテレワークの普及を承けてアンターでインターンを始めた。今になって思うことであるが、これは明らかに精神的変容のなせる業である。以前の私であれば、自らの学業事情を真面目に振り返って、こういった新たな挑戦には二の足を踏んでいた可能性が高い。

國松先生が提唱されている「CIAMS」の概念に初めて触れたとき、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う社会状況の変化とが個々人の精神に変容をもたらすことに関して、一つのまとまった適切な名辞が与えられたことにいたく感動した。自分自身の現状もCIAMSということができるかもしれない。しかし、CIAMSは難しい専門用語である。もちろん、複雑な状況を端的に言い表すためには、そのなかに難しさを内包するほかない。

今回の鼎談は、このCIAMSの概念を解きほぐすところから始まった。しかし、先生方の快弁が概念解説に留まることはない。我々が直感している社会的変化への指摘も漏らすことなく、かなり具体的なところまで踏み込んだトークもあった。個々人が抱える困難さにCIAMSという名前を与え、さらにこれを活用して我々の意識や生活にポジティブな変化をもたらそうという取り組み方は、超一流のドクターならではの視点を反映しているように思われ、一人の医学生としても大いに憧れるところである。紙幅の都合上、先生方の会話の全てをお伝えすることはできなかったが、ご興味をお持ちいただいた皆様方には是非アンターのメンバーとしてアーカイブ動画をご覧いただきたいと思う。

医学生インターン 相京辰樹

 

 

記事化できたのは、映像のごく一部です!
配信を見逃した方、もう一度見たい方は、医師医学生限定Facebookグループにて視聴いただけます。

【第1部の配信】
JOY女医 !
皆さん、おつかれシャムです。
海を渡ったドクターたち
熱血救急医!
COVID-19時代のヘルステック

【第2部の配信】
SNS時代のスーパースター
スーパー在宅医
適々斎塾の軌跡と未来
医学教育が未来を創る
レジェンドの集い

【第3部の配信】
今だからこそ感染症を明るく語ろう
Another dimension!次元の彼方へ
診断推論達人談義

 

各部 レポート記事

第1部 JOY女医!

「JOY女医!」

まだまだ少ない女性医師。普段聞けない貴重な女医会!赤裸々な会話はまるで女医版SATC??必見です!

第2部

「皆さん、おつかれシャムです。」

COVID-19の流行に伴い、生活への影響は大きなものでした。環境や体調の変化で人が変わってしまう??何が起こっているのか、そして一体どうすれば??

第3部

「海を渡ったドクターたち」

世界で活躍する医師たち。日本から旅立った理由も、活動の内容も、個々それぞれ。医師なら誰でも胸が熱くなる会話が繰り広げられました。

第4部

「熱血救急医!」

状況によって柔軟な対応を求められる難しい救急。多岐にわたる対応そして、患者さんは笑かして帰らさなあかん?!

第5部

「COVID-19時代のヘルステック」

COVID-19は医療のあり方にもインパクトを与えました。ヘルステックは今後どうなっていくのでしょうか??

第6部

「SNS時代のスーパースター」

情報発信で世の中に貢献している医師たちの本音。しゅんしゅんクリニックPこと、お笑い芸人として活躍する宮本 駿先生も加わり、新時代の医師の活動について語りました。

第7部

「スーパー在宅医」

コロナの影響で、診療体制も大きな変化がありました。在宅医として活躍する皆さんはどの様な対応をされているのか??リアルなお話。

第8部

「適々斎塾の軌跡と未来」

開業医の、開業医による、医師・医学生のための医学塾「適々斎塾」。終わることのない、医学探究の情熱が画面を通り越して伝わるセッション!

第9部

「医学教育が未来を創る 」

様々な患者さんを治療するため、医師になるにはたくさんの知識と経験が必要になります。その教育に携わることは未来を創ること

第10部

「レジェンドの集い 」

医療界のレジェンドと呼ぶのにふさわしい方々に集結いただき、姿勢を正して!と気合が入りますが、とても和やかな日常を垣間見せていただきながら、様々なエピソードを伺いました。

第11部

「若手開業医スペシャル」

独立して地域医療を展開する開業医。
個々の想いを胸に、奮闘されるリアルな会話が繰り広げられました。

第12部

「今だからこそ感染症を明るく語ろう」

新型コロナの流行でますます需要が注目される感染症内科医。今回の大流行で診察の基本原則を見直すチャンス??ペットも登場!

第14部

「診断推論達人談義」

様々な経験を積むことが、医師として大切な成長要素。1人1人が良い医師になって欲しい、成長を支える先生方の想いが伝わるセッションです。

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