横隔膜周辺の石灰化の原因(結核, 膿胸, 出血, 肺梗塞)とアスベスト(石綿)関連疾患〜中皮腫, 肺がん, 石綿肺〜 

CTで偶然認めた横隔膜周辺の石灰化. どのように考え, 対処すればよいのでしょうか.

この記事は、医師同士疑問解決プラットフォーム “Antaa” で実際に行われたやりとりの中から学んでおきたい内容を回答いただいた先生に執筆いただいております。

また、現場により良い知識が届くように、記事を改善しつづけていきたいと考えています。最新論文の追加や加筆修正により、より質を高められる点がありましたら、ぜひAntaa編集部までご一報ください。

横隔膜周辺の石灰化の原因(結核, 膿胸, 出血, 肺梗塞)とアスベスト(石綿)関連疾患〜中皮腫, 肺がん, 石綿肺〜 

内科5年目

横隔膜の石灰化って、病的意義はあるのでしょうか??

検診でひっかかった患者さんが外来にきて、CTを撮影したところ、この写真のような所見のみだったんですけど、どのように対応したらよいのか悩んでいます・・

 

放射線科7年目
アスベスト暴露による胸膜プラークは横隔膜面に出来る事が特徴ですね。職業歴や暴露歴を聞く&アスベスト暴露は当然、胸膜中皮腫のリスクなのでそういった病変がないか確かめることも大切です。

 

次富 亮輔
片側のみであれば結核性胸膜炎の既往も聞いてみたいところです。
Dr. Tsugitomiの “ポイントレクチャー” 

ここではCT画像所見を含めて、胸腔内の石灰化の機序、鑑別疾患(結核・膿胸・出血・肺梗塞)、胸膜プラークについて、またアスベスト関連疾患も解説します。

聖路加国際病院 呼吸器センター 呼吸器内科    次富 亮輔

 

1. 胸腔内の石灰化, 原因は長期的炎症〜結核性胸膜炎、膿胸、胸腔内出血、肺梗塞〜

胸腔内の石灰化は長期的な炎症によって起こります.

何らかの理由で胸膜に炎症が起こると炎症細胞浸潤やその後の線維化によって一時的に胸膜が肥厚し, その後時間の経過とともに吸収され元に戻りますが, その炎症が長期間になると炎症と組織修復の過程でDystrophic calcificationと呼ばれる石灰化を起こす事があります.

胸膜に長期的な炎症を起こす疾患としては[keikou]結核性胸膜炎が最も代表的[/keikou]です.

その他, 一般的な膿胸で改善に時間を要した場合や外傷による胸腔内の出血・肺梗塞でも同様の病態は起こり得ます.

ただし結核性胸膜炎に関しては, 石灰化のみであれば あくまで陳旧性の病態を指した所見であり結核性胸膜炎が現在アクティブに存在することを示すものではありませんので病的な意義としては小さいです. (もちろん片側の胸水貯留や炎症反応上昇など結核性胸膜炎を疑う所見を伴っている場合は精査が必要です.)

<図1. 陳旧性の結核性胸膜炎による胸膜の石灰化>

そのほか, 特に今回のように横隔膜面に石灰化を認める場合には『胸膜プラーク』の可能性を鑑別に入れて病歴を確認しましょう.

2. 胸膜プラーク〜アスベスト(石綿)関連疾患〜

胸膜プラークは壁側胸膜の限局性胸膜肥厚を指し, アスベスト(石綿)関連疾患の存在を疑う所見です.

アスベストの吸入から15-30年という長い時間を経て発症します. 胸膜プラークで見られる石灰化は通常両側です.

分布は下肺野縦隔側や横隔膜面に好発し, 肺尖部やCP-angleには起こりにくいことが特徴です. 慢性炎症によって起こる石灰化は片側である場合が多く, また通常は臓側胸膜に発生します. 石灰化の分布が鑑別のポイントになります.

<図2. アスベスト吸入による胸膜プラークの石灰化>

石灰化を伴わない場合もあり, この場合は胸部単純写真では指摘できないことが多いです.

3. アスベスト関連疾患〜中皮腫、肺癌、石綿肺〜

アスベスト吸入による健康障害のひとつで, 中皮腫・アスベスト吸入による肺癌・石綿肺(アスベスト―シス)・びまん性胸膜肥厚などがあります.

疾患によって条件がありますが, 石綿健康被害救済制度の対象となる場合があります. 

記事で疑問は解決できたでしょうか?

AntaaQAは医師専用のオンライン相談アプリです。
現場で患者さんの診断治療に困った場合は、AntaaQAで他の医師に相談してみませんか。

みんなで一緒に患者さんの診断治療に取り組みましょう。

4. 参考文献

1) Radiographics. 1994 Nov;14(6):1247-61.

医師医学生専用のQAサービス

「AntaaQA」は診療中の疑問を医師が互いに答え、知識をシェアする医師専用のサービス。
いますぐ10秒でユーザー登録!

Antaa QAに10秒で登録する。

  コメント - Comments -

コメントは公開されません。


>現場の判断を助ける、医師同士の質問解決プラットフォーム

現場の判断を助ける、医師同士の質問解決プラットフォーム

「外来で、専門外の症状の診断に不安がある。経過観察をしようか迷う」「当直で、レントゲンで骨折を疑ったが、読影に不安がある。他に人を呼ぶべきか判断に迷う。」そんな時は、AntaaQAでいつでも即相談。第一線を走る医師たち・同じ悩みをもつ医師に質問ができ、判断に迷ってたあなたの悩みを解決に導きます。

CTR IMG