CCHR(Canadian CT Head Rule) 頭部外傷患者での頭部CT〜適応・除外・項目・注意点・NOCとの比較〜

  • 2018年9月15日
  • 2019年8月21日
  • 診断
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下記項目に1つでも該当する場合は脳外科的介入が必要な症例と考え、頭部CTを考慮します。

  • 受傷後2時間で GCS < 15
  • 頭蓋骨の開放or陥没骨折が疑われる
  • 頭蓋底骨折の所見がある
    →hemotumpanum
    →パンダ目(racoon eyes)
    →バトル兆候
    →脳髄液の耳漏, 鼻漏
    →脳神経の異常所見
  • 2回以上の嘔吐
  • 年齢 > 65歳

※適応・除外項目があります。下記目次をご覧ください

今まさに頭部外傷の患者さんを診ているのではないでしょうか。目の前の患者さんに頭部CT撮影が必要性かどうか判断に迷う場面も多いと思います。

この記事は、2001年Lancet、2005年JAMAの文献をもとに、その臨床判断の手助けとなるClinical Rulesの1つである ” CCHRCanadian CT Head Rule”を紹介します。

CCHRを用いることにより、どのような場合に頭部CT撮影の必要性があるかを判断することができ、不必要な頭部CT撮影を控えることができます。

例えば、軽症頭部外傷で来院する患者の約30%(6-40%)を安全に頭部CT施行から除外することができると言われています。

CCHRCanadian CT Head Ruleに基づいた判断の結果、頭蓋内外傷の存在を考え、頭部CTを撮影するのはどのような場合でなのでしょうか?

1. 使用する場面〜適応・除外〜

  • GCS 13-15 + LOC(Loss of Consciousness: 意識喪失
  • 受傷時の記憶がない
  • 錯乱
  • 16歳未満
  • 抗凝固剤使用者 / 抗血症板剤使用者
  • 受傷後に痙攣を発症したもの

 

適応対象となった患者に対しては次項以降で触れるCriteriaに沿って頭蓋内外傷の存在の有無を判断します。

上記の項目に]満たない・・・レベルの軽症頭部外傷患者は基本的に頭部CTは必要ないとされています。
しかし、適応外の患者に関してもClinical Judgementを通じてCTの必要性を吟味すると記載があります。
例)Medium Risk Criteriaの危険な受傷機転に当てはまる場合

2.CCHRCanadian CT Head Rule~High Risk Criteria

High Risk Criteria:再掲
下記項目に1つでも該当する場合は脳外科的介入が必要な症例と考え、頭部CTを考慮します。

 

  • 受傷後2時間で GCS < 15
  • 頭蓋骨の開放or陥没骨折が疑われる
  • 頭蓋底骨折の所見がある
    →hemotumpanum
    →パンダ目(racoon eyes)
    →バトル兆候
    →脳髄液の耳漏, 鼻漏
    →脳神経の異常所見
  • 2回以上の嘔吐
  • 年齢 > 65歳

3.CCHRCanadian CT Head Rule~Medium Risk Criteria

Medium Risk Criteria
これらの項目をHigh Risk Criteriaの項目に加えることにより、さらに臨床的に重要と考えられる症例も見極めることができます。下記項目に1つでも当てはまれば頭部CTを考慮します。

  • 受傷時の30分以上前の記憶を喪失している
  • 危険な受傷機転
    →交通事故ではねられた小児
    鈍器で殴られた
    →1m以上 or 階段5段以上からの転落
    →重量のあるものが頭に落ちてきた
    →車両から外に飛ばされた

4. CCHRとNOCの比較

CCHRと同様に不必要な頭部CT撮影を控えるためのClinical Ruleで”NOCNew Orleans Criteria ”があります。

ここではCCHRとNOCを比較した研究結果についてまとめます。

  • NOCとCCHRのどちらが優れているかは議論がある
    →2つの検証試験(validation trial)ではCCHR, NOC両方で感度100%であった。
    →1つの検証試験においては、NOCの方が優れていた(NOC vs CCHR: 99.4% vs 87.2% )
    →1つの検証試験においては、CCHRの方が優れていた(NOC vs CCHR: 86% vs 95% )
  • 全ての研究において、NOCはCCHRよりも特異度は低いことがわかっている(NOC vs CCHR: 12.7% vs 50.6, 5.6% vs 39.7%, 10.2% vs 36.3%, 28% vs 65%)
  • 他にもNOCとCCHRを使用した際の、評価者間の一致性という問題も存在する。NOCとCCHRそれぞれの評価の一致性を見るとκ値が NOC vs CCHR で0.47 vs 0.85 という結果が出ている。
  • CTが必要ではないとルールを誤って解釈してしまった例はNOCで5.5%、CCHRで4.0%であった。

5. 追記事項〜注意点〜

  • 2005年のJAMAではカナダにある9つの救急診療部に訪れたCCHR適応条件に当てはまる2707例を対象とした。
  • 2005年のJAMAでは、臨床的に重要な頭部外傷を持つ患者と脳外科的介入を必要とする患者の双方に対してCCHRは感度100%であり、特異度は前者は76.3%、後者は50.6%であった。
  • 後続のすべての検証において、CCHRの感度は100%であった。
  • ほぼ全ての研究において、7-10%の患者が臨床的に重要な頭部外傷があり、<2%の患者が脳外科的介入が必要だと考えられた。
  • Hight Risk Criteriaを用いることで、脳外科的介入を必要とする患者の100%を除外することができた。
  • イギリスの後ろ向き研究の結果では、CCHRを用いると特定の環境下では頭部CTの適応率があがった。
  • 目的とすべきなのは「すべての頭蓋内外傷を発見する」ことなのか、「頭蓋内外傷のうち脳外科的な介入を必要とする臨床的に重要なな症例を発見する」ことなのかはいまだ議論がある。

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6. 参考文献

  1. Stiell IG. et. al., The Canadian CT Head Rule for patients with minor head injury, Lancet. 2001 May 5;357(9266):1391-6.
  2. Steill IG., et. al., Comparison of the Canadian CT Head Rule and the New Orleans Criteria in patients with minor head injury, JAMA. 2005 Sep 28;294(12):1511-8.
  3. Boyle A. et. al., Evaluation of the impact of the Canadian CT head rule on British practice, Emerg Med J. 2004 Jul;21(4):426-8.

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