子育てしながら仕事をするのは楽しい!を伝えたい

今回は、板橋中央総合病院:総合診療科・緩和ケア科の湊真弥先生にお越しいただき、インタビューを実施しました。湊先生は、昨年2019年5月に第一子をご出産され、その後もママ医としてご活躍されています。そんな湊先生に、先生の経歴から、ママ医の働き方についてなど幅広いお話を聞かせていただきました。
 
【湊真弥先生:板橋中央総合病院】

緩和ケアのニーズを研究しながら医師として患者に向き合う

なぜ医師になろうと思ったのでしょうか?

医師だった祖父の影響が大きいです。おじいちゃんっ子だった私は祖父への憧れをずっと持っていたんですが、その憧れが医師への憧れにもなっていきました。しかしその祖父が亡くなってしまい、何もできなかった自分に無力感を感じました。そこで、医療に対する気持ちが一層強くなり、私自身も医師になることを目指し始めました。

お祖父様はどんな先生だったんですか?

開業医だったんですが、たくさんの地域の方とざっくばらんに話をしている姿が印象的でした。どんな人ともしっかりと向き合い、人とのコミュニティーを大切にしている姿が、非常に暖かくて憧れでした。だからそんな祖父の死が、私にとっては非常に大きな意味を持っていて、今私を医師にしていると言えます。

実際に医師になってみて、自分が考えていた医師像とのギャップはありましたか?

実際に働き始めて、思っていたよりもたくさんのスキルや能力が必要になるんだなと、実感しましたね。これは当たり前の話でもあるんですが、知識だけではどうにもならないことがたくさんあります。例えば問診の仕方から、看護師さん達との仕事の仕方、など国試を勉強していては習わないこともたくさんありました。

また、想像していたよりも『泥臭い仕事』がたくさんありましたね。例えば、書類をこんなに書くとも思わなかったですし、患者さんと関わる以外の仕事がこんなにも多いのかとも思っていませんでした。そしてその、患者さんと関わること自体が、思っていたよりも難しいことなんだなって強く実感しましたね。単にお話をすればいいだけではなくて、意図を持って問診することや、意図を持ってコミュニケーションすることが大事なんですよね。

なぜ緩和ケアを目指そうと思ったんですか?

私、学生の頃から緩和ケアに興味があったんですが、いざ医師になって入る科を選ぶことになり自分の本当にやりたいことを改めて考えた時に、死と向き合いたいと思ったのがきっかけです。これから高齢化社会、そして多死社会を迎えるにあたり、医者としてできることをしたいと考えたのが決め手でした。

また、ガン患者さんだけではなく、それ以外の全ての様々な症状で死と近い患者さんに対しても、緩和ケアとして何かしてあげたい、という風にも思っていました。しかし、そんな患者さんと向き合うことは難しいとされているのが現実の現場です。その理由としては、あらゆる症状について詳しく知っていないといけないし、制限のある場で決断することが非常に難しいということが挙げられます。しかし、その困難な状況に対してフルコミットしたいというのが私の思いです。

なぜそこまで緩和ケアにこだわることができるのでしょうか?

自分が初期研修の頃から色々な患者さんを見させてもらったから、ということが大きいと思います。色んなケースの患者さんを初期研修の頃から見させてもらっていて、たくさんの経験をさせてもらえました。そのおかげで、その人達のために自分が本気で向き合いたいと思うようになりました。そしてこの経験が、今の自分の自信にもつながっています

 

患者さんと向き合う中で、先生が特に大事にしていることってどんなことですか?

やはり、コミュニケーションです。患者さんが最も大切にしたいと思っていることを、私も大切にしたいと思っています。それぞれの患者さんに合わせた柔軟なケアを心がけています。例えば、『とにかく家に帰りたい』や『とにかく家族に迷惑かけたくない』など患者さんによって様々な気持ちや価値観があって、そこに寄り添っていけたらな、と思っています。

今研究されているのはどのような内容ですか?

緩和ケアのニーズについてを研究しています。非ガンの患者さんを中心に(ガンの患者さんももちろん対象ですが)、スクリーニング調査を行なっています。そして臨床研究なので、患者さんと関わりながら研究を進めるので、本業との両立がうまくいっているんです。うまくいっているどころか、相乗効果をもたらしていると言えます。

ママ医として働くには早めの相談や職場選びが大切

ママ医として働くことのイメージと、実際のママ医では違いがありましたか?

元々は、崇高で、雲の上の存在だと思っていました。ママとして働くって、本当に難しいことなんだろうなって思っていました。でも、実際にやってみて、全力でやってみればなんとかなるもんだな、と思いました。雲の上の存在なんかじゃない、普通にできることなんだよ、とみなさんに伝えたいです。そしてこれは、医者に限らずどんな職業にも言えることだと思います。

家族や病院からの協力を得るために工夫したことはありますか?

なかなか協力が得られず不安な方って多いと思います。でもまずはちゃんと早めから相談しておくことは大事だと思います。私は、病院に対しては『自分が復帰できるのは1年かもしれないし、そうじゃないかもしれない』といった感じで、結論付けることができない不安定なその気持ちをそのまま伝えていたため、気持ちが楽でした。

また、職場選びも大切だと思います。私は、『ママ医としての相談や悩みを理解してくれそうだな』と思っていた先生のもとで働こうと決めたので、非常に寛大な上司に恵まれました。だから、こういった相談にも優しく向き合ってくれて、許容してくださいました。

その先生は、どんな要素を持っていたのですか?

これはもう直感もありますが一番大きかったのは、よく話を聞いてくれる、ということですね。ちゃんと話を聞いてくれる人や聞き上手な人というのは、色々な価値観に柔軟な人、ということが言えると思います。

 

勇気付けられて頑張れる女医さんが増えてくれたら嬉しい

これから女医を目指している人たちにメッセージはありますか?

まずは、医者だけじゃなくて色々な働き方がある、ということを伝えたいですね。これは私の勝手なイメージかもしれませんが、医学部を目指している女性って、医学部に執着しすぎるところがあるのかなって思うんです。だから、もっと広い視野で見てみると、仕事って他にもたくさんあるということをまずは伝えたいです。医者ってすごく泥臭い仕事で、例えば研修医の時などは、非常に長い間働くことになるし、正直大変なことは多いです。

でもやってやれないことはないし、しっかりとした覚悟と広い視野で周りも見た上で医者を選んでくれるならば、私はすごく嬉しいです!一緒に頑張りましょう。

今、医学部に入学した時に戻れるならば、どんな人生を過ごしますか?

もっと広い世界を見に行くかもしれません。私はヨット部で、もう生粋の部活バカだったんですが、計算してみると年の120日くらいを部活に費やしてしまっていました。もちろんその時は部活が楽しくて、今となっては後悔などはないのですが、それだけに時間を使いすぎてしまったなと思っています。本当はもっと医学以外の勉強をしたり、色々なところに旅行に行ったり、もっとバイトしてみたりしたかったし、するべきだったなあと思っています。

なぜそう思うかというと、緩和ケアで大切にしている患者さんとのコミュニケーションの中で、色々な知識の引き出しが多い人であることの大切さを痛感しているからなんです。

医者になろうと決めた時の自分を踏まえて、今の湊先生が思うことはなんですか?

私は、医者としてはまだまだ未熟です。コミュニケーションを大切にしていますが、まだまだうまくいかないこともあります。でも、自分個人としての死との向き合い方は、医師になった今大きく変わっているように感じます。

私の中では今、これからの自分の理想像に対する答えって出ていないかもしれません。しかしただ今をがむしゃらに生きて、たくさんの人と向き合っていきたい、私が関わることでもっと世の中を良くしていきたい、という気持ちだけを強く持ちながら頑張っています。また、私の話を聞いて、勇気付けられて頑張れる女医さんが増えてくれればな、とも思っています!

 

湊先生のオンライン配信「ママ医は楽しい!」のスライドはこちら 

湊先生の産前〜産後8ヶ月までの1日のスケジュールなど、育児との両立のリアルな情報が盛りだくさんです。ぜひご覧ください!

医師医学生専用のQAサービス

「AntaaQA」は診療中の疑問を医師が互いに答え、知識をシェアする医師専用のサービス。
いますぐ10秒でユーザー登録!

Antaa QAに10秒で登録する。

  コメント - Comments -

コメントは公開されません。


>現場の判断を助ける、医師同士の質問解決プラットフォーム

現場の判断を助ける、医師同士の質問解決プラットフォーム

「外来で、専門外の症状の診断に不安がある。経過観察をしようか迷う」「当直で、レントゲンで骨折を疑ったが、読影に不安がある。他に人を呼ぶべきか判断に迷う。」そんな時は、AntaaQAでいつでも即相談。第一線を走る医師たち・同じ悩みをもつ医師に質問ができ、判断に迷ってたあなたの悩みを解決に導きます。

CTR IMG