2020年9月11日(金)に「若手だって指導医だ!Residents-as-Teachers」と題し、橋本市民病院で若手医師向けの指導医講習に取り組まれている橋本忠幸先生に後輩医師の指導についてレクチャーいただきました。
そこでは語り尽せなかった先生の思いをさらに語っていただくために、配信で司会を担当した滋賀医科大学附属病院 呼吸器内科の山本晴香先生に聞き手になっていただき、配信後インタビューを実施しました。どんな学生・研修医時代を過ごされたのか、印象に残っている指導医の言葉、「Residents as teachers」との出会いなど、配信中では聞けなかったお話が満載です。
橋本忠幸先生 プロフィール
橋本忠幸先生
橋本市民病院 総合内科 副医長
2010年 大阪医科大学卒業
2010年 和歌山県立医科大学附属病院にて初期研修
2012年 福岡県株式会社麻生飯塚病院総合診療科 後期研修医、チーフレジデント
2015年 現職
MPH(公衆衛生学修士)
総合内科専門医、救急専門医
留学生から学んだ「世界との違い」〜医学生時代〜


英語は高校時代から好きだったのですが、さらに頑張ってESSというかなり真剣な英会話サークルで6年間頑張りました。ゴルフ部も頑張って、西医体で優勝しましたね。


通っていた大阪医科大学では、色々な国から交換留学生が来るんです。5年生のポリクリの時期に留学生のお世話係をしていました。そこでハワイの学生と話していたときに、「私たちの世話もありがたいけど、ちゃんと病院行ってもいいんだよ」と言われたんです。
「さすがアメリカの学生は違うな」と思ったのですが、アメリカだけじゃなくて、タイやオーストラリアなど他の国の留学生全員からも同じことを言われました。
これがとてもショックで。日本とアメリカが違うのではなく、日本と世界が違うのか、と気づきました。それ以来マツケン先生のところで色々勉強するようになりました。
配信では視聴者の意見も交えながら「指導医」について考えました。
距離を置いて見守る指導医〜初期研修時代〜


人生の師匠と思えるような先生との出会いもありました。和歌山医大では、「救急のローテーションが登竜門」みたいなところがあるんです。2回も救急をまわり、2回目では「この病棟を担当するように」と言われました。辛かったけど、自分が一番伸びたと感じています。




チーフレジデントとしての苦労〜後期研修時代〜




「勉強になりそうだな」というより、「ここで研修したら楽しそうだな」という印象が強かったです。




ただその6人が6人とも、タイミングによってはチーフレジデントをやってもいいような能力の持ち主でした。なので同期の彼らにいかに上手く仕事してもらうか、気持ちよく仕事してもらうか、が僕の中で仕事として結構大変でした。

ハワイ大学での“Residents as teachers”との出会い


「内科レジデントでの1ヶ月の選択期間に『医学教育』というのがあるから、よかったらおいで」
と言われました。それはぜひ行きたいと思い、留学しました。






間にいる専攻医が抜けてしまうと指導医から研修医・学生への流れが止まってしまう。
若手医師の教育・指導能力を育む“RaTsプログラム”




それまでは日本プライマリ・ケア連合学会などで単発のワークショップは何回かしていました。ですが「単発のワークショップではなく、続けてやらないと意味がない」というデータがあったので、1年間通して実施できるカリキュラムを作るのが目標でした。
それが今やっているRaTsフェローシップですね。
“最初に思いつく指導医”は飯塚病院時代の2個上の先輩


僕が入ったときにちょうど専攻医が増え、専攻医の中でのマネジメントをしていくべきではないかと、入ってきたばかりの僕らが言い出しました。
最初は怒られるかなと思ったのですが、2個上のちょっと怖く感じていた先生が、「それは絶対にやるべきだ」と言ってくださり、それで進めることができました。
それがとても嬉しく、以来その先生には今でも色々と相談に乗ってもらっています。「ちょい先輩」のなかで浮かぶのは、その先生ですね。
「先生のやっていることは全部あっているから、自信もってやっていいよ」


でも悪いことって、指導医の先生がいないときに限って起こるじゃないですか。


「先生のやっていることは全部あっているから、自信もってやっていいよ」
と言われました。



“Teaching is learning twice”〜若手だって指導医だ!〜


呼吸器内科の先生なんですが、「右左どっちに影がある?」という質問に、「左!」と答えても、「惜しい!右!」と言うような先生で(笑)。
言ったことを否定しないので、安心して発言できましたね。

医学教育に興味を持っている人は多いけれども、「師匠クラスにならないと医学教育をしてはいけない」と思っている人も同じくらいいるのではないかなと思います。でもそうではないんだよ、ということを伝えたいです。
総合内科って神クラスの人が大勢いるじゃないですか。


医学教育も同じで、「マスタークラスにならないとやってはいけない」とかではなく、一人前ぐらいになったらもうやっても差し支えないし、なんなら一人前になるために医学教育をするのもあります。
ありふれた言い方ですが、“Teaching is learning twice(教えることは、二度学ぶこと)” とよく言うじゃないですか。
指導することで自分の心の中が洗練されたり、新しいことを学ぼうとする勇気が湧くと思います。

やはり人によっては、自分が教えるのはどうかなって躊躇ってしまったりすると思います。フィードバックのメソッドなど、今日の先生のレクチャーで少しでも伝わればいいなと思います。
橋本先生、本日はありがとうございました!
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